一方、これから12年以上先のことを約束しても、それまでは動かすということを保証するようなものだし、それまでにまた考えが変わるリスクも大きいので、「原発即ゼロ」を求める人たちから見れば意味がないという評価もある。原発ゼロ実現を錦の御旗にして希望の党に合流しようと考えた民進党前議員たちから見れば、はしごを外された思いかもしれない。

 その後、民進党と希望の党の間では、誰を合流させるかの交渉が続いているが、その段階に入ると、小池氏の態度が非常に厳しいものに変わった。憲法観や安保政策が一致しないと公認はしないというのだ。首相経験者は公認しないという趣旨の細野氏の発言なども加わり、リベラル派から見ると、一時抱いた「小池氏はそんなに激しいタカ派ではない」というイメージは幻だったという状況になっている。そうなると、一気に原発政策も信用できないのではないかという疑念も湧いてくる。

 今は、公認問題ばかりに光が当たっているため、政策面の交渉はほとんどノーマークの状況だが、おそらく、30年ゼロをさらに前倒しする可能性はないだろう。

 今後さらに原発関連で動きがあるとすれば、反原発のシンボルになるような人に立候補してもらうということくらいではないか。

 このような状況下で、原発ゼロを実現したい有権者はどの党の候補者に投票すべきであろうか。

 第一の選択肢は、共産党や社民党候補への投票である。彼らは、ぶれないから、安心して投票できるし、共産党候補はほぼ全選挙区にいるから投票先の候補者を見つけられない確率は低い。しかし、残念ながら、政権政党になる可能性はない。したがって、原発ゼロの実現のために投票しても実質的には、死票となる。

 第二の選択肢は、希望の党から合流を拒否されるかあるいは自らの意思で最初から合流を拒否する元民進党の無所属前議員だ。彼らの数がどれくらいに上るかにもよるが、仮に当選者が20人を超えるようなことがあれば、国会でも質問時間を確保できて、一定の影響力は持てるだろう。ただし、これも政権政党になる可能性はほぼないので、原発ゼロ政策実現は難しい。

 また、自分の選挙区で候補者が見つからないことも多いという問題もある。その場合は、共産党候補に入れるということになるだろう。比例では、彼らの支持政党はないので、ここでも共産党に投票するしかないだろう。

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