うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
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育児をしていると、この三つの言葉についてしばしば考えることがあります。果たして自分は、子どもを怒っているのか? 叱っているのか? 注意しているのか?と。
私は、なるべく子どもを怒らず、叱らず、注意する親でありたいと思っています。
まず、子どもを怒ること。これは、なかなか自分本位な行動にあたるのではないかと思っています。怒っているときの頭の中は、子どもをしっかりさせようなどとは関係なく、腹が立って不満な気持ちを晴らしたいという、自分自身の感情がほとんどを占めているからです。
たとえば、子どもが食事中にうっかりジュースをこぼしてしまうことって、しょっちゅうありますよね? そのとき「コラッ! いい加減にして! 何度言ったらわかるの!?」と声を荒らげるげるのが「怒る」です。でも、考えてみてください。子どもはまだ手や指を動かす機能が発達していないし、大人よりも食事をする経験も浅いのです。30歳のときに産んだ子ならば、1日3食と計算して、30年×365日×3回、つまり合計3万2千回以上の食事経験の差があるわけです。そんな回数をこなしてきた大人でさえもうっかり水をこぼしてしまうことはあります。それなのに子どもが「悪意もなく」起こしてしまった失敗を、大声をあげて上から怒鳴りつける権利が、果たして私たちにあるのでしょうか?
また、感情的な怒りは、「ダメな子なんだから」「すぐこぼすんだから」という否定的な文句も付け足してしまいがちです。心理学では、「あなたはこういう子だ」と言われると、本当にそのようになっていく「ラべリング」という現象があります。つまり子どもは責められることで自分を肯定する気分が弱まって、また失敗しやすくなるという、負の連鎖反応ができてしまうのです。