エースとして期待される山田章仁は「本気で勝ちに行っている証拠なので、アジャストしていかないといけない」と、首脳陣に従う旨の談話を発す。

「テストという響きは、僕だけじゃなく皆、好きではないですけど、それもそれで楽しんでいければいいと思います」

 また、今年からサンウルブズに入った松橋周平は「現状を見たら、もっとハードワークしないといけない」と、初体験となるほぼ無休のシーズンにあって、バイクトレーニングに自主的に取り組む。

「トップリーグの試合期間でもありますけど、別なメニューをしてフィットネスレベルを上げていきたいです。(候補合宿では)ワールドレベルというフィットネスの基準値が出されていて、今回はほとんどの選手がそれをクリアできていない。頑張らないといけない」

 成果が表れるまでに時間のかかりがちなスタミナ強化に対し、個々が正面から向き合っているのだ。ボスと積極的に対話するリーチは、こうまとめる。

「一番やらなくてはいけないのは、ハードワーク。フィットネスを上げる」

 一方、ジョセフの右腕であるトニー・ブラウン・アタックコーチが唱える攻撃プランは、ジョーンズ時代のそれとは対照的だ。スペースへキックを放ち、蹴り返された球をスピーディーに回すなどしてスコアを狙う。

 ラグビーでは手でのパスを前方に投げられないうえ、攻撃側の全選手がボールより後ろでプレーしなければならない。キックは効率的に陣地を奪う手段である一方、ほぼ確実に相手に球を渡すプレーでもある。その前提条件もあってか、実は若手主体でもあったアイルランド代表に屈した6月はキック主体の戦法への批判が渦巻いた。

 しかし、真の問題の本質はそこにはない。長らく代表の主軸を張っている某選手は「他の国のようにずっとスタイルを変えていないのではなく、全く違うラグビーをやっている。それで勝つのが大前提にされるのは厳しいところもあるけど、やっていること自体は間違っていない」と言う。さらにジョーンズ体制下でコーチングコーディネーターを務めた沢木敬介・現サントリー監督も、いまの代表にこうエールを送っている。

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