プライヤーが実績を残したこの部門は現在、ハイランダーズ時代からジョセフと仕事をしてきたサイモン・ジョーンズS&Cコーチが担う。国際経験や前任者からの引き継ぎの質などが課題とされているが、選手から「すごく、厳しい」と評されているのはポジティブな兆しとも取れる。「(代表が)トップリーグの各チームと連携を取って、どう(筋持久力の)プラスアルファを作っていくか……」と今後のプランを想像するのは、山田やリーチとともに主力格として期待される稲垣啓太だ。

 アイルランド代表との2連戦のさなか、指揮官と一部主力選手は激論を交わし合ったともされる。2年後の本番に向けて生みの苦しみを経験しているであろうなか、ジョセフは言った。

「自国開催だから大きなプレッシャーがかかるとか、いろいろな話題が出ています。メディアの方には、自国開催は強化に向けて絶好のチャンスだという捉え方をしていただき、そういう発信をしていただければ、チームにとっての強化に繋がるし、助かります。オネガイシマス」

 日本でプレーしていた1990年代から穏やかな笑顔で支持されてきたこの人に期待されるのは、他国以上に鍛え、他国以上に物事を緻密化させることかもしれない。リーチら「トップスタンダード」を目指すアスリートたちは、新しい日本代表を完成させられるだろうか。(文・向風見也)