イングランド大会時に主将を務め、2016年は代表を離れていたリーチマイケルは、整理された前向きな談話で今後の指針を明かした。

「ジェイミーや他の人に頼るんじゃなく、選手ひとりひとりが責任を持って準備しないといけない。トップスタンダードにならないといけない。ただ、トップスタンダードは何か。それがわからない。では、トップスタンダードを作らないといけない」

 国内のジャパンラグビートップリーグが序盤戦を進めていた、2017年9月。今度の11月に向けた候補合宿があった。ここでジョセフらは、テストを行った。選手たちの筋力やスタミナを、ジムワークやグラウンド上でのヨーヨーテスト(一本道を往復し続けて持久力を数値化する測定)で測った。

 思い返せばジョーンズ体制は、1日3部練習は当たり前の長期合宿で選手の筋持久力を激変させた。陣地を問わずボールを保持する「JAPAN WAY」というスローガンを全うするには、「世界一のフィットネス」が必要と考えたからだ。イングランド大会の予選プール終了直後、当時の主力で全身を隆起させていた五郎丸は「エディージャパンが始まった時の上半身裸の写真を見たら、本当にガリガリで」としみじみ振り返ったものだ。

 いまの日本のラグビーシーンはスーパーラグビー(今年は2~8月)と国内のジャパンラグビートップリーグ(同・8~1月)によって年中試合が組まれている。スーパーラグビーに至っては、南アフリカなどへの長距離移動も重なる。ジョーンズ時代のような長時間をかけた体力強化は叶わないのが現状だ。結局、サンウルブズの公式戦では、選手の経験値やスキルが備わってきた一方、以前の日本代表ではまれだった試合終盤での失点も目立つようになった。

 懸命に身体を張る選手が納得するかどうかはさておき、ジョセフ招聘に関わった薫田真広・強化委員長は「2015年時に比べ、(選手の体重は平均して)3キロ落ちている」と発言したことがあった。このほど改めて測定が組まれたのは、競技の根幹をなす筋持久力を見直したいとの表れだろう。

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