「いろいろな日本人選手と話しましたけど、皆、『もっとよくなるようにできる』と思っています。(キックで)1回ボールを向こうに手離すのなら、それをどう自分たちのボールにするのかを考えて蹴らないと、なかなか奪い返せない。相手にプレッシャーを与え、蹴り返したくなるようにさせる。それにはキックの精度、タイミングなどを突き詰めないといけない。やるラグビーにはいろんなスタイルがあっていいけど、そのなかでも俊敏性、運動量など、自分たちの強みを活かすためのやり方があっていい……。ブラウニー(ブラウンの愛称)も頭のいいコーチだから、きっとその辺のことは考えています」

 スタイルの是非を問うより、スタイルを貫くための詳細を詰めるべき。沢木の言っていることは、そういうことなのだろう。

 もっとも、すでに詳細が突き詰められているパートはジョセフ体制下にもある。そのひとつはスクラム。両軍のフォワードが8対8で組み、その下へボールを転がす攻防の起点だ。ジョセフ体制下でこの領域を指導する元日本代表プロップの長谷川慎スクラムコーチは、攻防の起点となるスクラムで「コア(体幹)の短い日本人向き」という独自の組み方を唱える。週ごとにメンバーを入れ替えなくてはならない方針のサンウルブズでも、そのシステムを首尾よく落とし込み、トライアンドエラーの延長でいくらかの手応えを示している。

 目下の改善必須項目となりそうな筋持久力についても、詳細を突き詰める姿勢が成否を分けそうだ。ジョーンズ時代の日本代表でフィジカル強化へ携わったジョン・プライヤーS&C(ストレングス&コンディショニング)コーディネーターも、こう私見を明かす。

「それぞれにとって必要な、具体的なトレーニングができないまま(その次の)試合に臨んでしまうと、急性のけがに繋がってしまうかもしれない。(トレーニングメニューの)個別化が大事になります」

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