石原:18年度の受験では、私立大は難化するでしょう。ただし、かつて「私大総難化」という時代がありましたが、それほどのレベルではありません。私大で人気が高い学部は、国立大と同様に経済・経営・商学系、それに国際関係、グローバル系ですね。国際とグローバル系の人気は当分続くでしょう。

富沢:確かに20年前と比べるとレベルは決して高くないんですよね。ですから受験生には妥協しない受験を貫いてほしい。大学に受かり入学手続きをしたものの、5、6月に「やっぱりもう1年」と河合塾に来る学生も相当います。合格先に納得できず入学をしない合格浪人も近年目立ちます。

渡邉:ここ3年間で私大を取り巻く状況は一気に変化しました。何よりも入学定員の厳格化が大きいですが、ウェブ出願が急速に普及し、ワンクリックで複数の学部に出願できて受験料も割引されるので、志願者が増えています。必然的に合格しにくくなるので、受験生は多くの学部を受けようとする。だから人気私大に関しては難化することが予想されます。合格レベルを広げた受験作戦を考えるのが現実的だと思います。

石原:だからといってヘンに妥協せず、第1志望が明確なら浪人覚悟で取り組んでもいいんじゃないかな。第2志望でも自分のやりたいことがやれるなら、そちらに入学してもいい。人生90年という時代ですから、後悔しないことが大切。戦前から続く大学入試で、浪人を嫌がる傾向はここ15年くらいだけなんですよ。

富沢:せっかく合格したのに、また浪人では入学金や時間がもったいないですから、大学との相性などをしっかりと確認して選ぶべきでしょうね。今年は中堅大学でも難化していたので、いよいよ偏差値に頼らない、未来を見据えた意識的な大学選びが必要になってきたと思います。

(取材・構成/笠木恵司)