対抗馬のマンチェスター・Uも、オフにFWロメル・ルカク(エバートン)、MFネマニャ・マティッチ(チェルシー)、DFビクトル・リンデロフ(ベンフィカ)を迎えて陣容の拡充に成功した。しかし、攻撃に変化をつける攻撃的MFとウインガーが不足しており、こちらも絶対本命に推すには決め手を欠く。噂されるガレス・ベイル(レアル・マドリー)の獲得が決まれば、優勝候補の筆頭に上がってくるだろうが、はたして。

 対照的に、昨季覇者のチェルシーは思うように補強が進んでいない。MFティエムエ・バカヨコ(モナコ)とアルバロ・モラタ(レアル・マドリード)を獲得しているが、彼らはマンチェスター・Uに売却したMFマティッチと、退団濃厚なFWジエゴ・コスタの後釜だ。ウイングバックとセンターフォワードの駒数が不足しており、チャンピオンズリーグ参戦に伴う過密日程を乗り切るには苦しい。

 また、トットナムも補強が一向に進んでおらず、10日時点で選手補強がゼロで、シティに売却したウォーカーの後釜さえ決まっていない。マウリシオ・ポチェッティーノ監督も「補強しなければ」と気を揉んでいるが、それでもFWハリー・ケインとMFデル・アリを中心としたチームの組織力は、すでにリーグトップレベルにある。3-4-2-1と4-2-3-1を違和感なく使い分け、各ユニットのコンビネーションも円滑。組織の熟成が進めば、面白い存在になる。

 今季の特徴を言えば、優勝が狙える陣容を持つ”ビッグ6”クラブにも不確定要素が目立ち、「絶対本命」と言い切れるクラブが存在しないこと。しかも、莫大なテレビマネーの流入によりエバートンやレスター、ウェストハムといった中堅・下位クラブも積極的な補強策を展開しており、上位陣の取りこぼしはこれまで以上に増えそうだ。よって、優勝争いも混戦模様が強まるに違いない。

 ただし、選手層と戦力値で言えば、シティとユナイテッドのマンチェスター勢がやはり優位だろう。それだけに、在任2季目を迎えるグアルディオラ、ジョゼ・モウリーニョ監督のチーム作りがどこまで円滑に進むか。彼らの熟成次第で、チェルシーやトットナム、リバプール、アーセナルにもチャンスが見えてくるのではないか。(文・田嶋コウスケ)