ハリルホジッチ監督のメンバー選考は適切だと言えるか(撮影・六川則夫)
ハリルホジッチ監督のメンバー選考は適切だと言えるか(撮影・六川則夫)

 6月13日、イラン・テヘラン。日本代表は2018年ロシアワールドカップ(W杯)・アジア最終予選、中立地でイラクと戦っている。

「選手を非難できない」

 ハリルホジッチ監督は1―1で終わった試合後に語った。予想以上に、過酷な条件でのゲームだったことは間違いない。気温は約38度。サッカーを90分間戦うには、ほとんど生命の危険すら感じる暑さだろう。芝生は長く、地面にはデコボコ。球足は一定でなく、おかしなバウンドをすることもあった。また、主審のジャッジ基準が曖昧かつ気分的。危険なファウルを見逃すなど、W杯最終予選をジャッジするレベルではなかった。

 日本は厳しいコンディションによって、けが人が続出。イラク戦までに複数の故障者を出していたこともあって、まるで野戦病院の様相を呈した。例えば、90分間ピッチに立ち続けた久保裕也も最後は足を引きずる状況だった。そんな“アウェー”で勝ち点1を手にし、グループ首位を守った(プレーオフ以上が確定)ことには、一定の評価が与えられるべきかも知れない。

 しかしどんな状況であれ、世界的にアウトサイダーのイラクに勝ち切れなかったことは、看過できない現実だろう。

 痛恨の失点はGKとCBの連係ミスで生まれている。原則的には、CBの吉田麻也がクリアすべきだった。それが非難されるのは、プロとして適切だろう。

 ただ、一つひとつのミスはあり得る。

 深刻なのは、日本がイラクを相手に攻め切れていたわけではなく、追加点も奪えなかった点にある。中盤の主導権も取り切れず、後半はむしろ押し込まれた。失点は時間の問題だった。

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