一見、叩かれてばっかりで、痛がっててかわいそうって思う人もいるかもしれないけど、人を責めるというのは昔からあるお笑いの技法の一つなんですよ。それを理解できない人が最近は芸人でも増えちゃったりしているんですよね。ただ、「いじればいいんだろ?」ってやつは、裏で袋叩きにあいますよ。「てめえ、何やってくれてんだよ!」って。

 学校の場合はそうじゃないでしょ。そいつを吊し上げてクラス中が笑ったなら、吊るし上げられたやつが本当に気持ち良いと思っているかってことをちゃんと考えなさいよってこと。相手がそう思ってなかったら、やっちゃダメなんですよ。自分がされて嫌なことはやっちゃいけない。逆に、いじめてるやつといじめられてるやつが2人で事前に話し合って、やってるなら一つの作品になりますよね。それはエンターテインメント。

 最近はトーク番組でも「いじり」が多くなったりして、特に僕なんかザキヤマに無茶振りされたりするじゃないですか。僕も「なんなんだよー」って言いながら前に出る。でもあれって、嫌だったらやめればいいし、何で周りが僕にさせるかというと、そっちのほうが面白いと思うからですよね。それが嫌で、毎回収録行くの嫌だなーって思うなら、僕は収録に行くのをやめればいいんですよ。

 根本を誤解しちゃいけないのは、みんな大人だから本当に嫌なときは「やめてくれよ」って言うし、そう言われたらやらない。それだけ。収録中に「これは止めて」って言うことも全然ありますし、本番前に「いまこういう問題があるから悪いけど突かないでもらえる?」って言っておくこともある。収録後にばっさりカットしていることもある。

 僕もそうですけど、芸人になった人間の多くは、いじめに対して笑いで戦ってきたようなやつばっかりですよ。いじめられたときに笑いを取って、和やかにいじめが終わったりする。それを選んで技を磨いてきた人種だったりするんです。だから、いまの時代の芸人は結構仲がいいし、愛がないことをやることをみんなものすごく嫌います。

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