先発に転向してここまで防御率12球団トップと絶好調の中日・又吉克樹(c)朝日新聞社
先発に転向してここまで防御率12球団トップと絶好調の中日・又吉克樹(c)朝日新聞社

 春は足早に通り過ぎ、早くも初夏の風に揺れている。その間、最もペナントレースを沸かせた男は誰か?3月31日から4月30日までの約1カ月の戦いの中でのセ・リーグ“月間MVP”を予想してみた。

【セ・リーグ投手部門】
又吉克樹(中日

 セ・リーグの投手陣では、メッセンジャー(阪神)が単独トップの4勝を挙げ、以下3勝で5投手が並んでいる状況だが、それらの面々よりも防御率部門で1位に立つプロ4年目右腕・又吉克樹を高く評価したい。

 3年連続60試合登板を達成した中継ぎ右腕。今季も例年通りにブルペンからのスタートとなったが、4月13日のヤクルト戦(神宮)でプロ初先発して8回を6安打2失点に抑えると、同21日のDeNA戦(横浜)でも7回2/3を投げて6安打2失点の好投。そして同27日のヤクルト戦(ナゴヤドーム)では7回5安打無失点で先発としてプロ初勝利。4月終了時点で6試合に登板して2勝0敗、12球団唯一の0点台となる防御率0.88をマークしている。

 一番の売りは、リリーフ時代と同じ“タフさ”。中継ぎ時代の経験を活かしながらピンチでも動じないピッチングを披露し、長いイニングの中で球種も含めて投球の幅も広げており、今後のさらなる活躍が期待される。サプライズも含めて、3・4月の月間MVPに推したい。

【セ・リーグ打者部門】
鈴木誠也(広島)

 今季も首位を走る広島。若手投手陣の頑張りとともに、やはり強力打線の好調ぶりがチームの白星街道の要因となっている。1番・田中広輔、2番・菊池涼介、3番・丸佳浩は昨季から代わっていないが、その後の4番に“定着しそう”なのがプロ5年目の鈴木誠也だ。

 昨季大ブレイクした5ツールプレイヤー。侍ジャパンの一員としてWBCにも参加したが、後遺症に悩まされた他の代表選手を尻目に開幕戦から猛打賞と爆発し、翌2戦目には1号本塁打を放った。当初は「5番」だったが、4月11日の巨人戦(東京ドーム)で初の「4番」に座って今季2度目の猛打賞を記録すると、その後も新井貴浩の休養を理由にしながらも4月下旬からの10試合中8試合で4番を務め、同29日のDeNA戦で1試合2発、翌30日には今季3度目の猛打賞をマークした上でリーグトップに並ぶ5号2ランをぶっ放した。

 4月終了時点までの27試合で打率.318、5本塁打、19打点の好成績。「4番」としては10試合で打率.351、3本塁打、9打点をマークした。盗塁も4。トリプルスリーだけでなく、3冠王の可能性も秘める22歳。もはや“神”に頼る必要のない確かな実力を身に付けている。