■花粉症は治る?

病気そのものが治るよう目指すなら、免疫療法しかありません。しかし必ず治るのではなく、治るのは免疫療法を受けた人の2割程度です。症状がほとんど出なくなる『寛解』を目指すのなら漢方がいいですね。花粉症は本来、防御反応ですから、寛解にもっていくのもいいのではありませんか?」(市村医師)

 代表的な漢方薬の処方を紹介する。

(1)急性期「目のかゆみ・涙」「くしゃみ」「鼻水」には、漢方薬「小青龍湯(しょうせいりゅうとう)」
(2)急性期「鼻づまり」には、漢方薬「麻黄湯(まおうとう)」

 ただし、「麻黄湯」で効果が弱い人には、漢方薬「越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)」

 この3つの漢方薬には「麻黄」が構成されており、心臓をドキドキさせたり便秘を起こしたりする副作用のもとになるエフェドリンが含まれている。一方で、眠気を抑える作用もあり、眠気の出る西洋薬との併用も有効。

 急性期の漢方薬は即効性があり、早い人だと20分程度で効果が出る。ただし、副作用の心配もあり長期間使うものではない。効き目が弱ければ別の薬に変えたり服用をやめたりするなど、医師に相談しよう。

(3)寛解期
症状が落ち着いて寛解期になったら、体質改善を目指します。

体力充実には、漢方薬「四逆散(しぎゃくさん)」
体力中等度には、漢方薬「柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)」
体力虚弱には、漢方薬「柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)」
胃腸虚弱には、漢方薬「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」
小児には、漢方薬「黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)」

「急性期の薬と併用しても構いませんが、量も費用もかかります。急性期の症状が落ち着いてから寛解期の薬に変えていくのがいいでしょう」(市村医師)

(文/医療健康編集部)

※『心とからだを整える 本格漢方2017』より