「昨日も帰って来たのが夜中の2時半過ぎでしたが、試合が遅くても基本的には帰って来るんです。翌日には朝練があるので。だから、体調管理は難しいですね。週に2日試合があれば、2日間は寝不足になるし。試合の開始時間が遅いと、アドレナリンが出ているので、帰宅してもなかなか眠れないんですよ。朝5時、6時まで起きていて、2、3時間寝て練習へ、という感じなんです」

 長友が所属するインテル・ミラノには、専属のシェフがいて、ゲーム時にも帯同。食の管理は徹底している。食事は、種類豊富なイタリア料理で、各人の好みで選ぶ。たとえば、ジェノヴァでの試合前夜、長友は、ニンジン、ほうれん草、アスパラなどのサラダ、サーモンのグリルを食べた。夜は基本的に炭水化物をとらない。

 試合当日の朝も同様にチームでの食事だが、長友は、スクランブルエッグなどのほかに、自身に必要なオリジナルの食べ物をいつも用意している。「フルーツ、ココナッツオイル、ナッツ系、マヌカハニーなどを混ぜたスムージー」だ。昼は、白米と鶏肉、それにアボカド。軽食は、空腹感に応じてバナナとナッツ類、ハチミツなどを少量食べるようにしている。

 長友は、栄養バランスと身体にいつ何を摂取させればいいかを考え抜いて食事をとる。もちろん、その先に見ているのは、ピッチ上のパフォーマンスだ。

「もう、30歳になりましたからね、若いときのようにはいかない。しっかりと食事とピッチ外での日々の管理をしないと、絶対に身体がもたないんです。すぐにケガをしたりとか、パフォーマンスが落ちたりする。もう、本当にぎりぎりの戦いで、常に勝負しているので。だから、『試合が終わって飲みに行くぞ!』というのは絶対にない。バカ飲みももうしないですし。レストランに行っても赤ワインを2杯ぐらいまでという感じです」

 イタリアサッカーリーグの頂点「セリエA」でのハードな戦いをこれだけ長きにわたって続けてこられたのは、間違いなく長友のこうした意識の高さがあったからだ。(文・一志治夫)

※『アエラスタイルマガジン 34号』より抜粋