春季キャンプで打撃練習を見守るラミレス監督=2017年2月2日、波戸健一撮影 (c)朝日新聞社
春季キャンプで打撃練習を見守るラミレス監督=2017年2月2日、波戸健一撮影 (c)朝日新聞社

 球団史上初のCS進出という“収穫”を得た昨季のDeNA。ラミレス監督就任2年目となる今季は、さらなる高みを目指してのスタートになる。

 優勝争い。そのための第一課題が、FA巨人へ移籍した山口俊の穴埋めだ。昨季19試合に先発してチームトップの11勝(5敗、防御率2.86)を挙げ、リーグトップの5完投3完封をマークした右腕。毎年安定した成績を残してきた“絶対的エース”という訳ではないが、多くのイニングを投げることができるタフさは、勝ち星以上にチームの助けになっていた。この男の代わりを誰が務めるのか。
 
 今季の先発ローテを見ると、石田健大、今永昇太、井納翔一の3人が軸になるが、いずれも昨季は2ケタに届かなかった(石田9勝4敗、今永8勝9敗、井納7勝11敗)。まずはラミレス監督からエースに指名された石田が、カード頭での登板が続く中で最低でも2ケタ勝利を挙げることが優勝への条件になる。同時に、ベテランの久保康友、新婚の三嶋一輝らの奮起とともに、新戦力の台頭も必要。身長2メートル1センチから角度のあるボールを投げ込むクライン、もしくはウィーランドのどちらかが先発としてシーズンをフル回転すること。そして育成出身4年目の砂田毅樹がさらに成長し、2年目の原健人、ルーキーの濱口遥大が頭角を現してくれば楽しみは増える。新たな朗報としては、山口の人的補償で加入した平良拳太郎が、25日のオープン戦で古巣の巨人を相手に5回無失点の好投を見せたこと。そのまま山口の代役としてすっぽり“ハマる”可能性もある。

 先発の後を引き継ぐ中継ぎ陣では、昨季防御率2点台の三上朋也、須田幸太、田中健二朗の3人が強力。もう少し枚数が欲しいところだが、守護神の山﨑康晃が安定感を取り戻し、新助っ人のパットンが機能すればブルペンは分厚くなる。ただ、昨季のチーム防御率3.76はリーグ5位(先発防御率、救援防御率ともに3.76でリーグ5位)。数年前よりも確実に頭数が揃ってきているとはいえ、優勝するためにはまだまだ改善すべき点は多い。理論的な采配だけでなくモチベーターとしても優秀なラミレス監督が、若手陣の秘めたる力を引き出すことができるか。指揮官の手腕にかかる比重は継続して大きい。

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