加藤俊徳医師
加藤俊徳医師

 本を読むのには、それなりに時間がかかります。しかし、時間をかけてたくさんの本を読んでも、効果的に脳が鍛えられていないケースがあると言います。そんな「残念な読書」を回避する方法を、『脳を強化する読書術』(朝日新聞出版)の著者で、「脳の学校」代表でもある加藤俊徳医師に紹介してもらいました。

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 健康のためにはバランスよくさまざまな食材を食べましょうとよく言われますが、脳の健康についても、まんべんなくバランスよくアタマ全体を使えている状態がもっとも理想的です。脳の使い方には人それぞれにクセがありますが、そのクセを放っておくと、脳内の同じところばかりを使う偏った脳になってしまいます。

 せっかくの読書が空回りしてしまっているケースを3つ紹介しますので、当てはまるものがないかチェックしてみてください。

(1)実は右脳をあまり使っていない「活字中毒」の人

 本を読む時に、文字を追うのは主に左脳の役割です。右脳は読んだ内容を映像にする役割を果たします。ざっくり示すなら「文字の左脳・映像の右脳」と覚えておくとよいでしょう。

 文字がアタマの中で映像化されることで理解力や記憶力がアップしますが、「活字中毒」の人たちは読書中にあまり右脳を使っていません。文字が一気に左脳側のアタマにスッと入るので、右脳側のアタマを使う必要がないのです。そのため、どんな内容でも苦なくスラスラと読めるわりには、読んだ内容があまり記憶に残っていないということが起こります。

 そのような方におすすめしたいのが、「ゆっくり読む」という読み方です。ゆっくり読んだほうが、まんべんなく脳を使うことができます。

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