その代表格は古巣FCニュルンベルクのお膝元『ノルトバイエルン』紙(電子版)だ。同紙は清武を「センセーショナルなボールさばきと並外れたクオリティのパスを披露し、FCNのユニフォームを着て輝いていたクリエイティブな司令塔」と懐かしがり、「だが、キヨはブンデスリーガに戻らなかった。中盤の魔術師はC大阪へ完全移籍した」と締めくくっている。

 なお、スポーツ専門サイト『spox.com』は24日の段階で、マインツ関係者の話として「セビージャが700万ユーロ(約8億5000万円)の契約解除金を提示したため、給与との合計額を考え、撤退を余儀なくされた」と報じていた。『sport.de』によればヘルタも同様で、やはり契約解除金の高さがネックとなったようだ。

 欧州のクラブにとって冬の市場は、新戦力の獲得というよりは余剰人員の整理、ケガ人の穴埋め、残留に向けた補強がメインで、夏ほどの派手さはない。そういう中で泥仕合を演じつつ、結局最後は「ゴネ得」となって目立ったのが、MFディミトリ・パイェである。

 昨年2月にウェストハム(イングランド)との契約を更新してロイヤリティボーナスを手に入れたばかりだというのに移籍を志願し、それが通らないとなるとプレーを拒否。新オーナーを迎えた今のマルセイユ(フランス)なら、少々高額でも買ってくれると踏んでいたのだろうが、最初の提示額も二度目の提示額もウェストハムの要求する3500万ポンド(約50億2000万円)に届かない。

 そうこうする間に、気分を害した同僚の訴えで、通話・メールアプリ「WhatsApp」の選手グループから外されてしまう。チームの食事会にも呼ばれず、自分の車は何者かによって破壊され、それなのにマルセイユは急いでくれない──自ら招いたとはいえ、踏んだり蹴ったりの状況だ。それでも30日にウェストハムが三度目のオファーを受け入れ、騒動はお値段2930万ユーロ(約35億7000万円)でようやく決着。ただし、パイェがロイヤリティボーナス100万ポンドをクラブに返金するなら、という条件付きであった。

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