翻って2017年。日本ハムは昨季5盗塁の陽岱鋼が抜けたが、その代役候補となる岡大海は15年に101試合出場で18盗塁をマークするなど、フルシーズンの出場ができれば2ケタ盗塁は間違いなしの俊足を持つ。その他、杉谷拳士、淺間大基、大田泰示といった面々も一定以上のスピードを持っており、チームトータルとして昨季以上の盗塁数も十分に可能な陣容を揃えている。ライバルは柳田悠岐(昨季23盗塁)、本多雄一(同23盗塁)、城所龍磨(同11盗塁)、福田秀平(同11盗塁)、今宮健太(同8盗塁)らを擁し、昨季リーグ2位の107盗塁をマークしたソフトバンク。2強の優勝争いは、まず“走る”ところから始まる。

 セ・リーグでは、広島が田中広輔(昨季28盗塁)、丸佳浩(同23盗塁)、鈴木誠也(同16盗塁)、菊池涼介(同13盗塁)と主力陣が軒並み“走れる”のが大きな強み。昨季12盗塁をマークした切り札・赤松真人の復帰が待たれるが、チームとして機動力が大きな武器であることに変わりはない。一方、V奪回へ向けて大補強を行った巨人は、過去10年間のチーム盗塁数が1位4回、2位4回と“走れる”ことも武器であったが、昨季はリーグ4位の62盗塁に止まり、さらにオフにはスペシャリスト・鈴木尚広(昨季10盗塁)が引退した。ドラフト1位ルーキーの吉川尚輝、プロ2年目の重信慎之介、さらにFA加入した陽岱鋼らに期待がかかるが、レギュラー定着を含めて未知数な面が多い。それならば、梶谷隆幸(昨季26盗塁)、桑原将志(同19盗塁)がいるDeNA、山田哲人(昨季30盗塁)を擁するヤクルトの方が数字を計算できる。

 過去、1950年代には南海の「100万ドルの内野陣」が球界を席巻し、70年代には「世界の福本豊」が登場。80年代には大洋の「スーパーカートリオ」がファンを沸かせたが、現代野球において機動力の存在はより重要となり、必要性は高まっている。大金を叩いた補強よりも、少しでも“走る”ことがチーム強化への近道かも知れない。