今年も、1月14日から2日間「大学入試センター試験」が実施される。ここから3月まで、大学受験生にとっては試練の日々が続く。高校受験も今月末から本格的な学力検査が始まり、進学を控えた学生さんたちは、正念場となる季節を迎える。受験や試験を前に、日本人の多くは神頼みをする。そこで今回は「学問の神さま」を紹介したい。
●天神さまこと「菅原道真公」
「学問の神」として最も有名なのは、天神さまとして知られる菅原道真公だろう。平安時代の貴族で異例の出世を遂げながらも、藤原時平の讒言(ざんげん)によって九州・大宰府に左遷された人である。人でありながら初めて神さまになった人物で、神としての正式名は“天満大自在天神”という。そして、無念のうちに大宰府で死去したのち、自分を陥れた藤原時平やその周りの人々を不幸にし、都に天変地異を起こした怨霊としても知られている。
この道真が学問の神・天神さまとしてなぜ日本人に愛されているかといえば、ひとえに怨霊のパワーが絶大だったためだと思われる。これほどまでに力を持つ神ならば、御利益の力も大きいに違いないと考えられたのだ。さらに道真は、幼少時より秀でた才能をみせていた人物だったことに加え、菅家は学校の元になるようなものを作った家柄でもある。その御利益が学問の神に集中していったこともうなずける。
天神さまとして有名な神社は、道真が左遷され、死去した場所でもある「太宰府天満宮」と、道真の怨霊を鎮めるために、もともと道真が住んでいた京の都に作られた「北野天満宮」の2つで、2大天神さまと呼ばれている。日本全国には15000社ほどの天神さまが鎮座するが、「◯◯天満宮」「◯◯天神社」のほか「北野神社」「菅原神社」とも称される。東京の受験生なら一度は参ったことがあるであろう湯島天満宮や亀戸天神社は、初詣に訪れる参拝者数で常に上位に位置していることからも、その人気の高さをうかがい知ることができる。
●宇治の神さまは勉学の神
道真が登場する以前の賢人たちも、神社に祀られ学問の神として崇められている。いずれも天神に比べれば今も残る社は少ないが、その分希少価値があるともいえる。
まずは、京都の宇治神社と宇治上神社に祀られている「菟道稚郎子命(うじのわきいらつこのみこと)」。応神天皇(八幡宮の神さま)の皇子で仁徳天皇の兄弟である。日本で初めて中国からの典籍を学び、日本に学問の道を開いた人物とされていることから、受験のみならず、資格取得・就職・修学などの際にも参拝する人が多い。日本全国で祀られているところは少ないが、関東では平塚に「前鳥(さきとり)神社」という菟道稚郎子を主祭神に祀るお社がある(境内社には菅原道真を祀る「奨学神社」も)。