では、国家からの収奪の可能性に備え、私たちはどうすればよいのか? 実は、終戦直後の預金封鎖や資産課税の際には、いろいろな「抜け道」があったと言われている。事前に情報を得て、預貯金を大量に引き出し株券に替え、新銀行券に切り替わって安定してから現金化するという人たちが存在した。また、資産を貴金属などに替えて隠し、課税対象の捕捉から逃れた人たちもいたという。

 現在なら、そうした資産防衛策としてほかに考えられるのは、最近よく話題にのぼるビットコインなどの「仮想通貨」かもしれない。仮想通貨は通常の通貨とは異なり、保有していれば世界中のどこでも使える。海外への送金も金融機関を介さないため手数料がほとんどかからない。円を仮想通貨に替えておけば、国から資産を守ることが可能だ。

 最も確実な資産防衛につながることは何か。それは、国がしっかり財政再建できるような方向にコミットしていくということだろう。「社会保障は手厚いほうがいい、税金は安いほうがいい」当然みなそう考えるが、それでは財政破綻は確実だ。国が破綻すれば、私たちの資産は毀損され、人生設計も大きく狂う。