広島東洋カープの鈴木誠也選手 (c)朝日新聞社
広島東洋カープの鈴木誠也選手 (c)朝日新聞社

 2012年秋のドラフト会議。話題の中心は、自身2度目の“運命の日”に臨んだ菅野智之(東海大卒→巨人)、甲子園春夏連覇を成し遂げた藤浪晋太郎(大阪桐蔭高→阪神)、そして、メジャー希望を表明していた怪物・大谷翔平(花巻東高→日本ハム)だった。

 それ以前から藤浪と大谷は世代の代表として幾度となく比較され、注目を集めてきたが、彼らが高卒4年目を迎えた今年、この2人に割って入るスター性を見せている男がいる。広島の“神ってる”男、鈴木誠也である。

 1994年8月18日生まれの21歳。二松学舎高では1年時から140キロ後半のストレートを投じ、優れたスピード、そして高校通算43本塁打を放ったパワーで注目を集めた。2012年のドラフトでは、森雄大(東福岡高→楽天)、増田達至(NTT西日本→西武)をクジで外した広島が、高橋大樹(龍谷大平安高)の後の2位で鈴木を指名。野手としての期待を込めて背番号51が与えられた。

 高校時代に甲子園出場は果たせなかったが、その悔しさをプロ1年目からぶつけ、13年に1軍11試合に出場すると、翌14年は36試合、15年は97試合出場と着実に信頼を勝ち取った。そして高卒4年目の今季、ライトのレギュラーを完全に奪い取ると、4月26日のヤクルト戦(神宮)で2本塁打5打点と爆発。さらに6月17日からのオリックス3連戦(マツダ)では、第1戦、第2戦と2日連続でサヨナラホームランを放ち、緒方孝市監督を「神がかってるよ。今どきの言葉で言うなら『神ってる』よな。本当にすごい」と言わしめると、第3戦は決勝ホームラン。一気にブレークを果たした。

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