「幸せな人の話を聞くとこっちも幸せになれるでしょう? 自分も頑張らないとと思うし。でもA子のお子さんのおひとりに、いろいろ問題あってね。詳しくはわからないけれど。彼女なりに苦労してるのよ。知らない人からみたら彼女の“幸せ自慢”にみえるかも知れないけど。A子の話も彼女にとっては、“吐き出し”、発散なのよ」

 それまで明るく振る舞っていたアイコさんが真面目な表情で筆者にこう教えてくれた。そんななか、斜め前に座っていたケイコさん(39)が明るく大声を張り上げる。

「ええと、皆さん、お幸せそうですが……。私、離婚致しました! 現在、婚活中です。どなたかいい方いらっしゃればご紹介してくださ~い!!」

 皆が「ええっ」と驚きの声を張り上げる。弁護士だった夫とは、生活、気持ちのすれ違いから離婚したというケイコさんの報告にその場にいたひとりが、「次のランチ会までに相手見つけないと、負け組だよ!」と明るく声をかけた。

 その時、筆者の横に座っていたD子さんが、この席での唯一の部外者である私にそっとつぶやいた。

「離婚した人いたのね。実は私もなのよ。でも私はケイコみたいにそれをここで告白する勇気、まだないな。今日の集まりに来るために新しい服を買い直し、美容院にも行ってきたけれど。正直、今の私には負担なのね。でも今日は来てよかった。次は私もいい報告をしたいから」

 若い日の青春時代を共に過ごした同窓会では時に厳しい話題も出る。だが、その厳しい話も糧にする……それが本来の同窓の集まりかもしれない。

※本文中、カタカナ名とアルファベット名は仮名。

(ライター・大江美椿子)