「実は私も新人時代、収録直前に泣いてしまって収録を中断させたことがあるんです。それでスタッフからは“新人アナの泣き待ち”と言われて……私が泣きやむまで待って収録を再開しました。今思うとスタッフにも余裕がありましたね」

――それは何が原因だったのですか?

「ADさんの『本番10秒前、8、7』という甲高い声に吹き出してしまったんです。それで年配のディレクターが『誰が新人を笑わせた? ふざけんじゃねー』と。私のせいでADさんが怒られたので。それで思わず悲しくなって大泣きしてしまったんです」

――緊張感が漲る現場なので、男性スタッフが怒鳴るとビクッとしますよね?

「自分が原因で他のスタッフが怒鳴られたので。辛かったですね」

 こうした擁護の声がある一方で厳しい声も女子アナのなかにはある。元地方局勤務の40代後半の女性フリーアナが語る。

「放送人はプライベートで何があろうとも冷静沈着でなければなりません。レギュラー番組の代役を立てるのはよっぽどの時だけなんです。だから、何があっても泣いてはいけません」

――それは家族や友人、パートナーとの別離でも、ですか?

「私は生放送もあり兄を看取れませんでした。夜勤が終わり父から電話がかかってきて亡くなったことを知りました。今でも家族・親族から白い目で見られています。でも仕方ありません」

――今回のお天気お姉さんの騒動をどうみますか?

「厳しい声もあります。でも、その前に彼女自身がブログで『疲れすぎてご飯が食べられない』とSOSを発していたそうですし、周りもそうした彼女の心の声をもう少し早く汲み取ってあげられていれば、ちょっと違ったのかなと」

 誰しも職業人であるよりも先に人である。彼女もまた放送人である前に人である。NHK会長の擁護コメントよりも先に視聴者の間では心配する声が多かった今回のお天気お姉さんのこの一件、多くの人は温かい目でみている。岡田さんの元気な姿を大勢の視聴者は待っている。

(ライター・志村ひな子)