一方、傷や強火を気にせずに、がんがん使えるフライパンといえば、やはり鉄のフライパンだ。焦げやすい、くっつきやすい、というイメージがあるが、それは使い方が悪いから。購入直後にから焼きをして油をなじませ、食材を入れる前に十分加熱すれば問題ない。使用後も洗剤を使わないなどの注意を払う程度でOK。もし焦げ付いてもフッ素樹脂加工と違って金だわしでごしごしこすって復活させることもでき、一生モノだ。

 同じ鉄でも、鉄を型に入れてつくる鋳鉄製のフライパンもある。アウトドアなどで活躍するロッジのスキレットなどが代表的なものだ。素材が厚いので蓄熱製が高く、食材を入れても温度が下がらないのでむらなく加熱できる。フタもあわせて使えば、ダッチオーブンのようにも活用できる。

 ただし、どちらもアルミにフッ素樹脂加工したものに比べて重いのが難点だ。軽さという点では、イタリアンのお店などで使用されているアルミのフライパンが優れている。アルミは軽くて、非常に熱伝導率が高いので、すぐに火が通るのがメリット。だがその分、火があたっている部分と当たっていない部分でムラになるので焼き物にはあまり向かない。パスタのソースを作って、麺とあえたりするといった使い方がメインとなる。

 ほかにステンレス製のフライパンもあるが、ステンレスは熱伝導性が悪いため、アルミなどを挟んだ多層構造のものが多い。鉄と違って錆びにくいというメリットがあり、フッ素樹脂加工のようにはがれることもなく、焦がしてもまた再生できる一生モノでもある。デザイン性にも富んでおり、見た目の美しさで選ぶ人も少なくないという。さらにフタと合わせて無水調理に使うこともできる。ただし、フライパンとしては使いやすいほうではなく、十分にあたためてから食材を入れないと、くっついてこげやすいのが難点だ。

 素材だけでなく、サイズも大切だ。とりあえず、ひとつ買うなら24cmがベストだろう。少し深さのあるものが炒め物などにも使えて便利だ。1人用として目玉焼きを焼くのにも、3~4人分の炒め物などにも使えるサイズとなっている。ファーストチョイスならフッ素樹脂加工のものが使いやすいだろう。

 フッ素樹脂加工のものをすでにもっているなら、鉄のフライパンに是非トライしてほしい。ギョーザやステーキなどの焼きものや、野菜炒めなどの炒め物の仕上がりがワンランク上になる。使いやすいフライパンを手にするだけで、毎日の料理が楽しくなるはずだ。

(ライター・栗山琢宏)