そんな、生活に支障を来すまでの経験をした同氏と山崎氏が推薦するのが、「ほったらかし投資術」と二人が名づけたインデックス運用である。これは簡単に言えば、TOPIXや日経平均などをベンチマークとし、これに連動するよう運用をしていくというスタイルだ。個人の場合は、これを自分で運用するのではなく、通称「インデックスファンド」と呼ばれる運用を行う投資信託に投資することになる。

 両氏は同書の中で、時価総額荷重の市場平均を表現しようとするTOPIXなどを用いるインデックス運用は、バリュー重視型のアクティブ運用に比べ、明らかに“負けにくい”性質があると断言する。というのも、「インデックス運用は原理的に同類の運用の中で平均的な運用成績をほぼ確実に得ることができて、同時に支払う手数料が相対的に安いので、長期的に見ると、同類の他の商品の平均に勝つ運用成果を労せずして得る」(本書より)ことができるのだという。このスタイルで運用すれば、大勝ちはしないものの、“買って保持”するだけという、その名の通り“ほったらかし”で成果を得られるというわけだ。

 また、インデックス運用の場合、投資家は自分が投資した指数の値をフォローするだけで自分の投資状態を把握できることから「シンプルで分かりやすい」などの利点が挙げられる。投資に割く時間のない忙しい人であればあるほど、ぴったりの運用法と言えるインデックス運用。投資にギャンブル的なスリルを求めている人ではなく、着実に「お金を増やしたい」という人には有効な運用術の一つといえるだろう。