『全面改訂 ほったらかし投資術』(朝日新書)山崎元、水瀬ケンイチ著定価:821円(税込み)Amazonで購入する
『全面改訂 ほったらかし投資術』(朝日新書)
山崎元、水瀬ケンイチ著
定価:821円(税込み)
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 少し前になるが、6月29日、日本銀行が発表した2015年第1四半期の資金循環統計(速報)によると、個人保有の金融資産の残高が前年同時期に比べ5%増加し、1707兆5130億円にまで上った。個人の金融資産が1700兆円を超えたのは平成9年以降初めて。その内訳をみると、特に目を引くのが「株式と出資金」と「投資信託」の伸び率で、それぞれ21%と大幅に増加している。

 背景には、株価の値上がり傾向を受け、これまで手元にあったお金を「貯蓄」ではなく「投資」に回す人が増えたことがある。昨年スタートしたNISA(少額投資非課税制度)など、新たな優遇制度も投資のハードルを下げているようだ。

 しかし金融商品を買ったはいいが「いつ、どのタイミングで売ればよいのか?」という問いは、一度投資家デビューをしたことのある人なら誰もが抱いたことがあるはず。株価は日々上がり下がりを繰り返す生き物のようなもの。ちょっとしたスキに自分が投資している銘柄に悪いニュースが出ることもあるし、せっかくの株がただの紙きれになる可能性もゼロではない。とはいえ、仕事が手に付かなくなるほど、いつも株のことばかり気にしているわけにもいかない。

 経済評論家・山崎元氏と共に『全面改訂 ほったらかし投資術』(朝日新書)を上梓した水瀬ケンイチ氏は、過去に、株価に踊らされたされた苦い体験があると告白する。なんと同氏は仕事をしながらYahoo!ファイナンスをチェックしつつ、悪材料が出ると一目散にトイレに駆け込み、携帯で売却と、「『デイトレーダー』ならぬ『トイレトレーダー』」と化していたというのだ。

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