「足利シュウマイ」は中を割っても白のまま。たまねぎがたっぷり入っているが、味はほとんどたまねぎくさくなくあっさり。それが個性的なソースの味を際立たせる
「足利シュウマイ」は中を割っても白のまま。たまねぎがたっぷり入っているが、味はほとんどたまねぎくさくなくあっさり。それが個性的なソースの味を際立たせる
佐賀・呼子の名産であるイカを用いた「いかしゅうまい」。大と小があり、大きさが違うと味の濃度や食感も微妙に異なり面白い
佐賀・呼子の名産であるイカを用いた「いかしゅうまい」。大と小があり、大きさが違うと味の濃度や食感も微妙に異なり面白い

 毎年各地で開催される「B-1グランプリ」を中心に、「ご当地グルメ」の人気は健在だ。しかし日本初(?)の「焼売ジャーナリスト」としては、その中で焼売の話題が目立たない事は非常に心外である。焼売といえば、崎陽軒のお膝元である横浜を連想される人がほとんどだろう。

 しかし、実は全国各地で親しまれている「ご当地焼売」は数多く存在している。なかには「ご当地焼売」の影響により、その土地の食材が全国ブランドに発展した例もあるぐらいだ。そんな「ご当地焼売」の代表例を、「焼売ジャーナリスト」の独断と偏見でご紹介しよう。

●全国区になったのは焼売のおかげ?佐賀・唐津「いかしゅうまい」

 焼売の個性と言えば、そのほとんどが中身の具といっても過言ではない。そのため今日世に出ている「ご当地焼売」の多くは、その土地の名産具材を使った焼売である。代表格と言えるのが、佐賀県唐津市呼子の「いかしゅうまい」だ。今でこそ呼子といえばイカが名産として全国の人に知られているが、その躍進を語るうえで、「いかしゅうまい」は欠かすことができない存在である。

 というのも、イカはそもそも呼子では名産として知られ、その鮮度を生かした「活け造り」を中心に食されていた。だが、とにかく足が早く長持ちしない。そのため、「活け造り」を看板メニューのひとつとしていた海中レストラン『萬坊』が、イカをムダにしないために焼売として商品化したのだ。その後、人気に火がつき、全国的に知られる名産のイカを象徴するグルメのひとつとして浸透していった。

 『萬坊』の「いかしゅうまい大」と「小」を食べると、外皮の独特の食感が心地よく、中身のイカのすり身の食感との対比がまた楽しい。海の香りも感じられ、まさにイカの旨味が凝縮したような味わいだ。全国区に広がったのも納得である。

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