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50歳を過ぎてからの「美魔女」と小泉今日子の違いとは?

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 どうすれば小泉今日子のように、齢とともに魅力を増していけるのか―― その秘密を知ることは、現代を生きる私たちにとって大きな意味があるはず。

 日本文学研究者である助川幸逸郎氏が、現代社会における“小泉今日子”の存在を分析し、今の時代を生きる我々がいかにして“小泉今日子”的に生きるべきかを考察する。

※「小泉今日子が『美魔女』でない理由」よりつづく

*  *  *
 先日「ビートたけしのTVタックル」で、お笑いタレントの小藪千豊が「美魔女」を批判して話題になりました。

<大枚はたいてエステに通い容貌を維持する「美魔女」の生き方も理解できる。でも、その対極にいる「白髪染めを買う代金を節約して、子どもの塾の費用にあてるお母さん」もほめてあげないと>

 これが小藪のいい分です(注1)。この台詞は、ある「美魔女」が口にした「美魔女コンテストに応募した動機」を受けて発せられています。彼女はこういいました。「専業主婦になって社会とのつながりを失い、女性としての自信をなくした。それで、今の自分がどれだけ評価されるのか確かめたくなった」。

「男性にモテる力」を獲得して、経済力やステイタスのある男性と結婚し、「めぐまれた専業主婦」になる――それがコンサバ系女性の究極目標です。小藪に発言を切り返された「美魔女」は、裕福な夫の援助をうけ、「自分磨き」に相当な費用をかけていました。紛れもなく彼女は「めぐまれた主婦」です。にもかかわらず、美魔女コンテストに応募せずにいられない空虚を抱えていたのです。

「美魔女」は、「赤文字系雑誌の中年版」が提唱する「あるべき40代女性の姿」です。それを選抜する場に、自分の境遇に飽きたらない「めぐまれた主婦」がエントリーした。現代女性にとって、40代を生きることがいかに困難か思い知らされます。

「美魔女」に批判的な人が多いのは、大金を費やした彼女たちの美しさが、他人にとってどんな価値があるか見えにくいからです。小籔が引きあいに出した「白髪染めの費用を塾代にあてるお母さん」は、あきらかに子どもの助けになっています。それにくらべ「美魔女」は、何に貢献するわけでもなく、無駄に美貌を洗練させているように映ります。

 社会とのつながりを求めてコンテストに応募した「美魔女」にも、他人の役に立つ意志はあるはずです。同じ悩みを抱える同性を、本を書くことで勇気づける。災害に遭った土地に出むき、ボランティアに励む。そういうことを人より立派にやれるなら、彼女はそちらを選んだかもしれません。

 若き日の彼女もおそらくコンサバ系で、「優れた男性に選ばれる努力」を重ねていたことでしょう。彼女にとってもっとも手慣れたスキルは「自分磨き」なのです。得意な領域を生かし、他人とつながりを持つ。この自然な営みが彼女の場合、「美魔女」になることなのでした。


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