デッサウ・バウハウス(ドイツ)
<br />(C)Kitamoto,hitoshi
デッサウ・バウハウス(ドイツ)
(C)Kitamoto,hitoshi

 もうすぐ、新たな年が始まる。
 2013年、あまロス(あまちゃんロス症候群)の社会現象にまで及んだNHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」。引きこもりがちだった主人公アキが挫折、奮闘を繰り返しながら、自分の道を見つけ成長していく姿はすがすがしかった。また、NHK大河ドラマ52作中、低視聴率4位となってしまった「八重の桜」だが、どんな時もあきらめずに信じた道を歩み進む八重の力強い姿は美しかった。

【バウハウスの建築を訪ねる旅・デッサウ】

 こうしたドラマが描いていた人物たちのように、社会環境や人間関係などがますます複雑になってきている世の中で、新しい道を切り開く勇気や、信じて進む精神力の強さ、そして率直さや軽やかさが、今の時代、多くの人に求められる資質となっている。

 歴史をさかのぼると、このような複雑な時代には、必ずそういった資質を備えた開拓者の姿がある。

 1919年、ドイツに「既成概念を打ち破る情熱的な開拓者精神」をもつ集団がいた。建築家ヴァルター・グロピウスによって設立された造形学校「バウハウス」に集う者たちだ。
「新しい社会のための新しい生活の追求、新しい美の提案」を目指し、建築、インテリア、テキスタイル、陶・金属器のみならず、グラフィック、舞台芸術など幅広い分野で実験的活動が行われた。今までにない「バウハウス人」の作品や試みは、周囲から奇異な目で見られることもあった。

 しかし、ナチスの圧力で閉鎖するまでのわずか14年間ながら、精力的な活動はモダンデザインの基礎を築き、その作品のいくつかは現在でも世界中で愛用され、多くの表現者を魅了し続けている。周囲からの圧力に屈さないバウハウス人たちの強さは、既成概念を捨て、失敗しても、未知の答えに取り組むことを誇りとしていたところにあったのだと思う。

 バウハウスのユニークな点はカンディンスキーを始めとする、個性的で多彩な教師陣が教鞭をとる一方で、織物工房では指導者不在のまま、学生たちが学んだ知識を伝えあうことで発展した。徹夜で課題を仕上げるハードな学生生活の一方で、教授、生徒が夜通し、語り、踊り明かす祭り好き。作品がいまだに輝きを放つのは、その姿勢による可能性に満ちた生命感が映し出されているからなのかもしれない。

「新年こそは自分に変化を!」と誓いを新たにする人は、バウハウススピリットに学べ!

【関連リンク】
ミサワバウハウスコレクションを知る
http://dot.asahi.com/homeclub-annex/whats_new/005.html