●【著者からのメッセージ】あなたは、1500万円をポンと払えますか?

 はじめまして。小山昇です。このたび、『数字は人格――できる人はどんな数字を見て、どこまで数字で判断しているか』 で描きたかったのは、「数字を見るツボ」と「人を育てる数字・ダメにする数字」です。

 99%の社長が勘違いしているので、思い切って、数字に関することを書き尽くしました。

 この本は、こんな実話で始まります。

 中国・大連に出張中のナンバー2の営業部長が、病気で倒れて緊急入院。

 難病で、現地では治療が不可能。

 しかも容態が悪く、普通に飛行機で帰国するのは無理。

 進行性の病気で大連の病院では治せず、家族は一瞬、悪い想像が頭をよぎった。

「日本で治してやりたい!」
「ココで死なせてなるものか!」

 そう思った、株式会社モリチュウ(埼玉県、製造業)の森雄児社長は思い切った決断をしました。

 森社長は、飛行機のチャーターを考えた。調べると、チャーター額は1200万円。入院して治す費用300万円と合わせて計1500万円の支出です。モリチュウは社員数28人の小さな会社。1500万円出すと、その期の利益はふっ飛びます。

 もし、あなたがこの会社の社長で、社員がこのようなピンチに陥ったら、どうしますか?

 銀行から借りる?

 断言してもいいです。小さな会社が銀行に泣きついて貸してくれるところはひとつもありません。

 森社長はどんな行動を取ったのか? 

「数字は人格」という信念がひとりの命だけでなく、会社全体の信用の根幹を育てることもある。

 私が講演会場でこのエピソードを話すと、ざわついていた人たちが例外なく「シ~ン」と聞き耳を立ててくれます。ぜひ本書冒頭にご注目ください。

次のページ
「数字は人格」で社内が活性化する理由