●これだけで利益が2500万円アップ?

 ムダな仕事をやっていてはいつまでも利益は上がりません。意外と移動はムダな仕事とみなされないケースが多い。しかし、そこが危ない。移動中は何も生産できないので、短ければ短いほどいい。

 私は常々、「中小企業は商圏をむやみに広げず、地域で圧倒的ナンバー1を目指せ」と指導していますが、商圏をコンパクトにすれば移動時間が短くなることも理由のひとつです。

 ところが、株式会社低温(奈良県、運送業)の川村信幸社長はそのことがわかっていなかった。

 低温は奈良県内で冷蔵運送を行っていますが、顧客からの要請で、和歌山にも1台車を出して運ばざるを得なかった。

 川村社長は自社の社員に和歌山ルートを任せ、その分、手薄になった県内の配送の一部を外注業者に出しました。

 これは大間違いです。

 外注業者は決まった仕事しかしませんが、社員は臨機応変に仕事ができる。時間あたりの生産性が高いのは社員のほうです。

 それなのに、社員を和歌山まで長距離移動させ、移動が短時間ですむ県内を外注業者に任せた。人件費を考えるなら、逆が正しい。

 そのことを指摘したら、素直な川村社長は社員と外注業者の大半の担当を入れ替えた。

 これだけで利益が年間2500万円増えました。

 仕事のやり方を見直せば、その仕事に張りついている人件費をスリム化できます。

 社員をリストラしなくても、人件費は減らせます。

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あなたは、1500万円をポンと払えますか?