なぜ日本人は「空気」に左右されるのか? 旧日本軍から豊洲問題まで、組織を陰で支配するもの

2016/11/14 16:30

「業務を把握すべき立場の歴代の市場長は盛り土をしないと知らずに決裁してきた。今回の事態を招いた最も大きな要因は責任感の欠如だ。組織運営システムの問題だ『都庁は伏魔殿でした』と評論家のように言っているわけにはいかない」(同前)

 東京都は計画段階で、約40ヘクタールの豊洲新市場予定地を4122地点にわたり詳細に調査しています(地盤面から深さ50センチメートルの土壌と地下水)。

「調査の結果、人の健康への影響の観点から設定されている環境基準を超える地点は、土壌または地下水で1475地点(36パーセント)でした。このうち1000倍以上の汚染物質が検出されたのは、土壌で2地点、地下水で13地点であり、敷地全体に高濃度の汚染が広がっていないことが分かりました」(東京都中央卸売市場ホームページより)

 これだけの事前調査をもとに決定された対策が、すべてきちんと行なわれていれば、豊洲市場への移転は大きな問題にならなかったのではないでしょうか。しかし対策である盛り土をしない、という決定がなぜか都政の中で段階的に承認されてしまいます。土壌の浄化対策を前提とした移転計画なのに、その前提を実施せずに建設が進んだのです。

「一連の流れのなかで盛り土をしないことが段階的に固まっていったと考えられる。ここが問題だが、いつ誰がという点をピンポイントで指し示すのはなかなか難しい。それぞれの段階で、流れや空気のなかで進んで。それぞれの段階で責務が生じるものと考える」(日本経済新聞、9/30より)

 大規模な調査が行なわれ、土壌浄化の実証実験までされています。にもかかわらず豊洲新市場への移転はトラブルに見舞われています。この現状は残念ながら、盛り土をしない決定を承認した都庁と行政自身が生み出してしまった問題といえるのではないでしょうか。

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