秋の紅葉が美しい季節。京都の人気はますます高まります
秋の紅葉が美しい季節。京都の人気はますます高まります
福知山市街地。確かに「京都っぽさ」はあまりないかも
福知山市街地。確かに「京都っぽさ」はあまりないかも
『もし京都が東京だったらマップ』の一部
『もし京都が東京だったらマップ』の一部
町屋に憧れる人は多いが、気軽な気持ちで住むのは避けた方がいいようだ
町屋に憧れる人は多いが、気軽な気持ちで住むのは避けた方がいいようだ
岸本千佳さんの著書『もし京都が東京だったらマップ』
岸本千佳さんの著書『もし京都が東京だったらマップ』

 先日、2016年「都道府県魅力度ランキング」が発表された。毎年話題になるこのランキング。注目は、安定した最下位争いをする北関東3県だが、これまた上位3県も安定した確固たる地位を築いている。

 1位になったのは北海道で、2位は京都府、3位に東京都が続く。この並びは2年連続で、多くの人が納得する結果だろう。なかでも京都府は、このランキングを含む「地域ブランド調査2016」の他の主要な評価項目でも上位を獲得している。観光意欲度2位、訪問率2位、認知度3位、産品購入意欲度2位…。何をとっても京都は上位なのだ。

 また京都市も、全市区町村の魅力度と観光意欲度ランキングの両者で函館市に次ぐ2位。認知度は新宿区をおさえて全国トップとなるなど、これまた上位を獲得している。

 ここまで人気が高ければ、京都に憧れて住みたいと思う人も多いはず。実際、居住意欲度ランキングでは京都府、京都市ともに4位にランクインするほどの人気を誇る。

「移住説明会を開くと、1回で30人ほどが訪れますが、6対4くらいで女性が多いですね。単身の女性かご夫婦が多く、男性おひとりはほとんどありません」

 こう語るのは、京都移住計画で「住む担当」をしている岸本千佳さん。女性を中心に大人気ではあるものの、岸本さんが「京都観光と京都移住には、とても大きなギャップがある」と語るように、実のところ京都移住は簡単なことではない。

 一体、京都に住んでみると、観光では見えないどんな姿が浮かび上がるのだろうか。

●京都市以外は「京都出身」じゃない!? 同じ府内で全く異なる姿

 京都というと、京都市内をイメージする人が多いだろう。だが、京都は意外にも広く、一般的には知られていない場所がまだたくさんある。

 前出の魅力度ランキングを市町村別でみていくと、京都府内で京都市に続くのは宇治市(全国52位)、舞鶴市(189位)。北海道のように、函館市(1位)や札幌(2位)、小樽市(4位)、富良野市(6位)といった人気の街が続々上位にランクインするところと比較すると、限られた地域が京都府の魅力を作っていることがわかる。

 京都府は大きく「京都市」「山城」「南丹」「北部」の4エリアに分けられる。

 京都市内は神社仏閣を中心に観光地が多数あり、祇園や河原町など誰もが知る繁華街も擁する中心地だ。山城はお茶で有名な宇治市や京田辺市などがあり、大阪や奈良にも近い。南丹は京都市に隣接する亀岡市や南丹市、京丹波町があるエリア。北部は海に面する舞鶴市や兵庫県に隣接する福知山市、京丹後市などがある。

 4エリアに分けられる一方、各エリア出身者に話を聞いてみると、京都は「三層構造」になっているのでは?という確信にも似た疑問が湧いてきた。

 一層目は、京都市内中心部の「洛中」と呼ばれる碁盤の目の中にある一帯。二層目が、京都市内の山間部や京都市に面する宇治市や亀岡市など。三層目が舞鶴や福知山といった京都市内から離れた主に「北部エリア」を含む地域だ。

 取材した福知山出身の男性に「京都出身なんて羨ましいです」と言うと、彼は食い気味に「いえいえ違うんです!」と勢いよく否定しながらこう話し始めた。

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