中瀬ゆかり

中瀬ゆかり

(なかせ・ゆかり)

プロフィール

和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、 作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに。
50代ボツイチ再生工場

中瀬ゆかりの記事一覧

中瀬ゆかり「トウチャンの子供を産まない選択をしたわが編集者人生」
中瀬ゆかり「トウチャンの子供を産まない選択をしたわが編集者人生」
「8050問題」「子どもリスク」などという言葉を最近よく目にする。現在15歳から39歳で全国に約54万人引きこもりの若者がいて、40歳以上は統計がないけれど、それをあわせたら実は100万人を超えている、という説もあるほど。「8050問題」というのは80歳の老いた親が50歳の無職の子どもの生活の面倒を見るということから来た言葉で、この状態から、老いた親が子どもの将来を悲観して命を奪う、などという無残な事件も発生している。わが子を殺めるなんて、どれだけの苦しみを背負っていたのか、想像に難くない。漫画化もされている押川剛さんの『「子供を殺してください」という親たち』や『子供の死を祈る親たち』などを読むにつけ、ヘタなホラー小説よりよほど背筋が凍る思いがした。
中瀬ゆかり
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中瀬ゆかり「実は失顔症で上役の顔も覚えられず、やらかした過去」
中瀬ゆかり「実は失顔症で上役の顔も覚えられず、やらかした過去」
初デートというのはこんな歳になってもやはり緊張する。しかも、相手と会うのは2回目。初対面の日は暗いバーで酔っぱらって話していたし、正直、顔をちゃんと見分けられるかも怪しいレベルだ。脳科学者に教えてもらったのだが私には軽い「相貌失認」(失顔症ともいい、人の顔が覚えられない脳の疾患で、人口の1%位いるらしい)の傾向があるようで、他人の顔をなかなか認識できない。同級生や同僚であっても、思いがけない場所で会うと誰だかわからなくなるくらいだ。30代のはじめに編集部を異動して間もない頃、執筆者である高齢のご夫妻に夕食に招かれたので料亭に出かけたら、そこに上役であるK氏によく似た方が座っていた。一瞬「Kさんに似てる」とは思ったのだが、ご夫妻が「こちら新潮社の中瀬ゆかりさんよ」とその方に紹介するので、反射的に「はじめまして。中瀬と申します。よろしくお願いします」と名刺を差し出した。するとその方は「ああそう」とにこやかに名刺をうけとって胸ポケットにしまい、「よろしく」とのたまうものの、一向に名刺を取り出す気配もないし、ご夫妻も彼の名前や属性を紹介してくださらない。どこの誰だろうと訝りながらも、しばらく4人で和気藹々と食事をしてご夫妻の近況や世間話をしていていたら、30分ほどして奥様が「Kさんはどう?」とその上司の名前をその方に呼びかけた。驚愕してよくよく顔を見たら、やはり、さきほどまで同じ編集部のソファで新聞を読んでいたKさんではないか!私はひどい失態に顔から火が出る思いだったが、突っ込みのひとつも入れずに名刺を普通に黙って受け取っていたKさんもKさん。さすがは京都人!そんな過去もあるくらいだし、ほかにも枚挙にいとまがないくらい「やらかしている」過去を持つ女。少なくとも好ましいと感じた男性の顔くらいは覚えていたいものだが、はてさて……。
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中瀬ゆかり「北杜夫、野坂昭如氏ら大作家にご迷惑をかけた“21世紀処女”の私」
中瀬ゆかり「北杜夫、野坂昭如氏ら大作家にご迷惑をかけた“21世紀処女”の私」
中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)/和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに TOKYO MX「5時に夢中!」の出演者と。右からふかわりょう、中瀬ゆかり岩下志麻子(写真:筆者提供)  MXテレビ「5時に夢中!」という番組内で、作家の岩井志麻子さんからもたびたびネタにされているが、あちらが「日本一のエロババア」の異名をとるのに対し、私は「21世紀処女」。まことに不名誉な称号である。「世紀をまたいで性器をまたがず」がキャッチコピー。はい、文字通り、トウチャンとは東西南北どこから見ても立派な「セックスレスカップル」デシタよ。最初のうち(2002、3年くらい)は、ただのジョークとしてみなさん笑ってくださっていたのだが、21世紀で干支がぐるりと一周したあたりから洒落にならなくなり、こちらも今更やりましたともいえず(実際やってないし)、時は流れ、もはや、やり方すら覚えてないレベルに至った。
50代ボツイチ再生工場中瀬ゆかり
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中瀬ゆかり「そうか、もう君はいないのか…。黒皮の手帳に残された言葉とは?」
中瀬ゆかり「そうか、もう君はいないのか…。黒皮の手帳に残された言葉とは?」
中瀬ゆかり(なかせ・ゆかり)/和歌山県出身。「新潮」編集部、「新潮45」編集長等を経て、2011年4月より出版部部長。「5時に夢中!」(TOKYO MX)、「とくダネ!」(フジテレビ)、「垣花正 あなたとハッピー!」(ニッポン放送)などに出演中。編集者として、白洲正子、野坂昭如、北杜夫、林真理子、群ようこなどの人気作家を担当。彼らのエッセイに「ペコちゃん」「魔性の女A子」などの名前で登場する名物編集長。最愛の伴侶、作家の白川道が2015年4月に死去。ボツイチに トウチャンが亡くなった日のカレンダー(筆者提供)  白川のいなくなった書斎のカレンダーは、彼が旅立った日の2015年の4月のまま。彼を焼き場で見送った日、みんなと別れてからの深夜、ひとり書斎でぼんやりと時間を過ごし、幼稚な文字でカレンダーの4月16日に「とうちゃんがお星さまになった日」と書いて◯をつけた。あれから3年半がたち、今現在もそのカレンダーはそのままになっている。
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中瀬ゆかり「霊能師Mさんも予言された運命の人とは?」
中瀬ゆかり「霊能師Mさんも予言された運命の人とは?」
「悲劇は人を変化させるが、喜劇は変化をこばむ」という一文をなにかで読んで刺さった。たしかに、パートナーだった白川道(トウチャン)と暮らして笑いまくっていたあの頃はまるで毎日が喜劇で、私は良くも悪くも変化しなかった、というより、いまある幸せを何一つ失いたくなく、変化を拒絶したのだ。だが彼を喪った悲劇は私を、私の人生観を、良くも悪くも劇的に変えた。人は必ず死ぬ。必ず失う生き物なのだ。そのどうしようもなく当たり前のことをはじめて当事者として脳が認識し、私はただ一回きりの人生をもう一度愛するひととやり直して、そして今度はトウチャンのときにやらかした数々のこと(たとえばお金とか時間の使い方とか)を生かして成長していく、と、1周忌の夜にトウチャンの遺影と自分に堅く誓っていた。
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中瀬ゆかり「トウチャンの散骨、無縁墓問題、スマ墓。頭をよぎる私のお墓…」
中瀬ゆかり「トウチャンの散骨、無縁墓問題、スマ墓。頭をよぎる私のお墓…」
先日の「AERA」でもそうだったが最近、墓に関する特集記事をよく目にする。父の墓をどうするかがまだ決まっていないので気になっていることもあるが、世の中的に「墓じまい」という言葉が流行ったり、未婚率は少子化の影響で無縁墓の急増も問題になっている。
中瀬ゆかり
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中瀬ゆかり「魂でもいいからそばに…白洲正子がかつて教えてくれたこと」
中瀬ゆかり「魂でもいいからそばに…白洲正子がかつて教えてくれたこと」
今年の3月に和歌山に住む父を亡くした。父は故郷の偉人・南方熊楠の研究に人生を捧げた高校教師だったが、定年後は南方熊楠顕彰館の館長を長く務めた。死んだトウチャンとはまったくタイプの違う学者肌で真面目な父は世俗的な遊びなど一切目もくれず、書斎にこもり研究し、古文書を解読することや俳句を読むことを何よりの楽しみとしていた人だ。私は昔からこの寛大な父にメロメロで、理想の男性でもあった。なのに、なぜ、真逆ともいえるギャンブル狂の作家なんかと暮らしていたのか、と問われるが、人間の本質として「ピュア」なところは父とトウチャンは根っこで同じ匂いがしていたのだ。これは誰にも理解されないだろうが、ファザコンの私にはとても大事な相似点だ。
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中瀬ゆかり「林真理子さんは魔性の女A子、『5時に夢中!』は半蔵門親方、そしてペコと呼んだのは?」
中瀬ゆかり「林真理子さんは魔性の女A子、『5時に夢中!』は半蔵門親方、そしてペコと呼んだのは?」
ちょっと前に、「あだ名禁止」の小学校が増えているという記事を読んだ。あだ名はいじめにつながるという理由で、男女ともに「さん」づけで呼ぶことにするという新ルールがあるらしい。うーん、なんか寂しいなあ。たしかにあだ名のいくつかはネガティブなものがあるかもしれないが、人間同士の距離を急速に縮めたり、特別な自分たちだけのあだ名を付けあうことは、楽しいことでもあるのに。禁止されたって、根本的に止めることはできないし、さらに陰口的に呼ぶなどして陰湿な二重構造を招く気もするのだが。苗字プラス「さん」、だけだなんて、なんだか味気ないように思うのは私の感覚が古いのか、甘いのか。
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中瀬ゆかり「私だけが知る日本一のエロババア、岩井志麻子の人見知りな素顔」
中瀬ゆかり「私だけが知る日本一のエロババア、岩井志麻子の人見知りな素顔」
私は現在、MXテレビの「5時に夢中!」という番組に毎週木曜日にレギュラー出演させていただいている。一緒にコメンテーターとして席を並べているのが、同じ年の盟友、作家の岩井志麻子さんだ。「文壇のいくよくるよ」「ハメドリ姉妹」などの異名をとる下品コンビ。相方とはいえ作家に対して失礼なのは承知で、普段通りに「志麻子」と呼ばせてもらう。
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中瀬ゆかり「愛する家族を亡くし、辛い人にぜひ、読んでほしい村上春樹さんの言葉」
中瀬ゆかり「愛する家族を亡くし、辛い人にぜひ、読んでほしい村上春樹さんの言葉」
同情が集まったからなのだろうか、トウチャンを喪ってからの私には夕食や飲みのお誘いが異常に増えた。仕事の会合もあるので、それを足したら、土日もあわせて1週間、空いている夜がないくらいに、毎日誰かとなにがしかのご飯を食べている状態が続いていた。おごったりおごられたり、割り勘だったりでエンゲル係数はマックスに到達していたが、18年間べったりと一緒にいたトウチャンの不在から目をそむけたくて、そして何よりひとりぼっちの時間を過ごすのが怖くて、スケジュール帳が空いていると強迫観念的にそこに予定をねじ込み続ける。そういう日々が絶え間なく続いていた。
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