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第34回 山口の熱い女子力×モノヅクリ

文・鈴木正晴

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mompekko代表のカイさん

mompekko代表のカイさん

伝統の「滝縞」を基本にした、「やまぐち縞」

伝統の「滝縞」を基本にした、「やまぐち縞」

 第19回と20回のコラムでご紹介したように、日本百貨店で扱う雑貨でも「作り手の女子」が大活躍しています。今回ご紹介するもんぺ「mompekko」も、女子力に支えられています。

 日本の伝統的な作業着であるもんぺを、今の生活に取り入れやすい形にしたのがmompekko。機能的な服が世にたくさんある中、わざわざもんぺじゃなくてもイイじゃんという向きもありますが、はいてみると意外に魅力的。綿密に織り込まれた生地で作られているので、すれに強く、何度洗濯しても傷まずに、むしろ肌触り、風合いがどんどんと良くなっていきます。夏場はさらっと暑苦しくなく、冬場も、あったかい、というと嘘になりますが、生地がしっかりしていて風を通しにくいので、決して寒くありません。

 mompekkoのマーケティング担当カイさんとの出会いは、山口県での講演会でした。講演が終わった後、派手なパンツをはいた女子がニタニタしながら近づいてきて、「これアキエさんと作ったんです」と鼻声で言ってきました。最初何言っているんだかわからず適当に受け流そうとしたのですが、横から県の職員の人が、「アキエさんって、安倍昭恵さんですよ、スズキさん!」と言ってきます。

 よくよく聞いてみると、安倍首相夫人が、首相の故郷の山口で米作りを始めるときに、「農作業時に着られるカワイイ服がない!」ということで山口県立大学企画デザイン研究室と共同開発したのが、カイさんのはいていたパンツ=mompekko。しかも、このニタニタしている女子が、販売会社の社長だというではありませんか。

 ニタニタしていましたが、失敗や苦労も多々あったようです。ベストな布地を探していたときに福岡の久留米絣に出合い、山口らしい色を出すために、いやがる職人に何度もお願いしてオリジナルの生地を作ってもらったこと。柄も、太い筋からだんだん細い筋になる伝統の「滝縞(たきじま)」を基本としながらも、今の感覚に合うようにと議論を重ねて「やまぐち縞」を生み出したこと。その根性と熱意、ハンパない!

 農作業だけでなく、ヨガや山登りなど、さまざまなシーンでの着用を想定しています。夏モノのイメージがありますが、あえて冬にもはいてもらおうと、先日当店でイベント販売をしました。スタッフ一同mompekkoを身に着けてお客様をお出迎え。冬にもかかわらず、たくさんのお客様にお買い上げいただきました。

 こうやって目立つ女子を見ていると、みんな根性がすごい。ぜひうちの男の子たちも見習ってほしい! そのうち男子力ってコラムが書けるように、男子たち頑張れ!


(更新 2016/2/24 )


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プロフィール

鈴木正晴(すずき・まさはる)

 株式会社日本百貨店・代表取締役社長、ディレクター兼バイヤー。1975年神奈川県生まれ。1997年東京大学教育学部卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社。アパレル関連の部門で、海外とのビジネスを多く経験する中で、国内の“モノ づくり”文化に根差したすぐれものをより広いマーケットに広める一助となりたいと考え、2006年3月伊藤忠商事を退社。2006年4月に株式会社コンタン(現・株式会社日本百貨店)を立ち上げる。2010年12月には東京・御徒町に、日本の優れものを集める小売店“日本百貨店”を オープン。食・雑貨・衣料雑貨など、全国から様々なこだわりの商材を集め、作り手と使い手の出 会いの場を提供している。著書に「日本百貨店」(飛鳥新社 2012/12)