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第17回 Made by Japanと日本文化

文・鈴木正晴

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<Made by Japanの京都・加藤萬の布扇子>風車(イエロー)

<Made by Japanの京都・加藤萬の布扇子>
風車(イエロー)

ののはな(パープル)

ののはな(パープル)

かくかくざとう(銀ねず)

かくかくざとう(銀ねず)

礎(紺色)

礎(紺色)

 日本百貨店の鈴木です。よく、日本百貨店の客層のターゲットは?と聞かれますが、ターゲットなどありません。性別、国籍、年齢にかかわらず、たくさんの方にご来店いただき、Made in Japanを手に取ってもらいたいと考えています。

 いまや「日本製」は、品質の信頼につながる大きなブランドになっています。お客さまは、ものによっては少し高いかなと感じながらも、手間隙かけて丁寧に作っているのだろうと、商品を購入されます。私もお客様の信頼を肝に銘じて、日本製という名にふさわしい、しっかりとしたモノヅクリの背景がある商品を、全国から探してきています。

 日本百貨店は、日本のモノヅクリ文化を未来に継承していきたい。だから基本的には日本製のものばかり販売しています。「基本的には」、この表現が微妙ですね。

 実は日本製にこだわっていたために、ずっと仕入れられなかった商品があります。それは日本の夏の風物詩「扇子」です。様々な作り手を回って「日本製の扇子」を探したのですが、すべての工程が日本で行われている扇子はほぼ見つかりませんでした。Made in Japanの表示がある扇子はいくつかありましたが採用できませんでした。理由は二つあります。一つは値段が高くなりすぎること。我々の店舗のコンセプトとして「日常」がありますので、日々の暮らしで使えない高価なものは扱いたくありません。もう一つは、「日本製」の表示はあるものの、海外で作った部品の最終加工を日本で行っているだけのモノ。後者は論外ですが、扇子に限らず、様々なモノでよく行われている手法のようです。そういった実態を知るにつけ、生産現場をしっかり確認しなければという思いが強まります。

 とはいえ、日本の夏には扇子が欠かせない。日本のモノヅクリ文化を伝えるためには、それを使う文化という土俵も残していかなければなりません。季節に応じた様々な行事。風土に適した用具の数々。「日本の夏には扇子」という文化が廃れれば、扇子自体を作らなくなり、技術も失われていきます。

 葛藤はありましたが、最終的には、一部海外産の材料を使っているものでも、それをきちんと表示し、日本のモノヅクリに根差したものだと自信をもって発信できるものは、Made by Japan(日本企画でつくられたもの)として扱うことに決めました。店頭では、POPやご購入時の説明を徹底しています。

 次回は、骨組みはコストの関係で中国産ですが、扇面のデザイン、企画、制作はすべて日本で行っている、京都・加藤萬の布扇子をご紹介します。


(更新 2015/7/22 )


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プロフィール

鈴木正晴(すずき・まさはる)

 株式会社日本百貨店・代表取締役社長、ディレクター兼バイヤー。1975年神奈川県生まれ。1997年東京大学教育学部卒業後、伊藤忠商事株式会社に入社。アパレル関連の部門で、海外とのビジネスを多く経験する中で、国内の“モノ づくり”文化に根差したすぐれものをより広いマーケットに広める一助となりたいと考え、2006年3月伊藤忠商事を退社。2006年4月に株式会社コンタン(現・株式会社日本百貨店)を立ち上げる。2010年12月には東京・御徒町に、日本の優れものを集める小売店“日本百貨店”を オープン。食・雑貨・衣料雑貨など、全国から様々なこだわりの商材を集め、作り手と使い手の出 会いの場を提供している。著書に「日本百貨店」(飛鳥新社 2012/12)

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