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お小遣い、0円。

文・内藤みか

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 最近、娘がお小遣いを受け取ってくれない。我が家は皿洗いなどのアルバイトに応じて対価を払うシステムなので、お小遣いではなくお給料、といったほうが正しいかもしれない。

 今まで娘は毎日お皿洗いをしてその都度50円の報酬を得ていた。月に1度の給料日には1500円を嬉しそうに受け取り、その足で近所に500円のマンガ雑誌を買いに向かっていたのに。

「もうあの雑誌は子どもっぽいから、買わないことにしたの。お友達が同じの買ってるから、そこで読ませてもらえばいいんだし」
 と言っているが、どうにも強がっているようにしか見えない。
「他に欲しいものなんてないもん」
 と言う。無理矢理握らせても一人で郵便局に行って、全額貯金してきてしまうのだ。ここ2、3年はお年玉もすべて貯金してしまって手をつけていない。

 先月、娘は1年生の時から通っていた絵画教室までやめてしまった。あんなに楽しみにしていた絵を自ら封印し、娘は今、受験勉強に励んでいる。そしてその学校が私立なものだから、彼女は私に遠慮して、お小遣いを受け取らないのだろう。

「1500円くらい、気にしなくていいのよ。離れて暮らすパパやおばあちゃんだってあなたの学費を助けてくれると思うから」
 そう言っても、彼女は返事をしないで黙々と机に向かっている。受験生だというのに塾には週に1日、理科と社会しか行っていないので学費は驚くほど安い。国語と算数は私と息子が教えている。

 彼女はお小遣いをゼロにしてでも、どうしてもその中学に行きたいのだろう。あんまり娘が欲しがらないので可哀想になり、最近はワザと100円ショップやキャラクターグッズショップなどに連れていき、欲しいものをひとつ持っておいで、と彼女を促す。そうすると、おずおずと、髪飾りやら、シールやらを持ってくる。スーパーに連れていき好きなお菓子を選びなさいと言うと「じゃあ1個だけ」とアメの袋を持ってくる。現金で渡すとすぐに貯金してしまうので、現物支給にしてどうにかバランスを取っているつもりだ。

 こんなに頑張っているのだからどうにか合格するといいなと願うばかり。中学受験の本番までもうあと10日となってしまった。


(更新 2013/1/21 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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