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二重まぶた、90000円。

文・内藤みか

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 実は、このお盆休みに私は二重まぶたの手術をした。

 子どもたちがおばあちゃんちに行ってひとり淋しく原稿を書いていた8月のある夜、逆さまつげが目に突き刺さり、私は痛くて泣いた。その瞬間「もうイヤ!二重になりたい!」と衝動的に決意してしまった。子どもたちはあと1週間は帰ってこない。今こそ決行の時だという気がしたのだ。

 しかし、思わぬハプニングが起きた。張り切って美容系のクリニックに問い合わせをしたら、なんと、どこもここも満員で、予約を入れることができないのだ。
「みなさん、お盆をずっと待ってらっしゃるんですよ」
 手術を受けると1週間ほどは顔が腫れ、普段どおり外出するのが難しい場合もある。そのためまとまった休みが取れる盆や正月に、何ヶ月も前から予約を入れる人が多いのだとか。

 けれど慌てず騒がず、翌日にキャンセルの問い合わせの電話をかけてみた。実は私には7年前も同じ悩みで手術を予約した過去がある。その時、どうしても勇気が出なくて直前で手術をキャンセルしたからだ。
 読みは当たり、キャンセルがひとり出ていて、私はお盆休み中に手術を受けることできた。料金は両目で90000円もしたが思い切って支払った。

 術後、鏡を見て思ったのは、目の上に1本線が増えただけなのだな、ということ。とはいえ、子どもの頃から睨んでもいないのに「なに睨んでるの?」と言われるくらい、眠そうで不機嫌そうな目つきだったのが、少しだけ改善された気がした。ちなみにもちろん逆さまつげも治って、快適になった。

 で、あまりにも誰も気づいてくれないので、最近は自分から「二重にしたよ」とカミングアウトしている。けれど、友達からは「言われてみれば、少し違うような」程度の反応しか返って来ない。

 娘だけは目ざとく、1週間ぶりに会った私を見るなり「あっ、二重になってる!」と指摘したが、息子ときたらいまもなお気づいていない。
 どうやら手術は少しささやかすぎたようだ。誰かひとりくらい「綺麗になったね」と言ってくれたら、大枚はたいたことに後悔もしないと思うのだけど、今後はどうだろう。

 このお盆休み、大勢の女性がお顔をメンテナンスしている。みんなはきっと、私のように自ら暴露したりせず、上手に隠して生活しているのだろうなあ......。


(更新 2012/8/30 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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