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プールダイエット、350円。

文・内藤みか

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 四十肩になってしまった。洗濯物を干そうと手を上げた瞬間、肩にムチを100発入れられたかのような痛みが走り、それきり腕が上がらなくなった。

 慌ててハリに行くと「これはヒドい。ずっとPCに向かっていて身体が固まってる」と言われ、ハリだけでは治らなかった。
 毎日手をぶんぶん振るようにとアドバイスされたので、娘とプールに行ってみた。クロールで腕を回せば良くなるだろうと思ったから。公営プールなので親子で350円と格安だった。

 しかし、娘と準備体操をしようとして肩を回して痛い!と叫び、いざ泳ぎだそうと腕を前に伸ばした瞬間、激痛に見舞われ、足までつって、溺れかけた。水の中では身体が浮いて腕も動くだろうなんて甘い考えだったのだ。
 しかたなくビート板につかまりながら、アメンボみたいにスイスイ泳ぎ回る娘を追いかけた。すぐふざけたり、レーンをはみ出して他の人とぶつかりそうになるので「危ないでしょーッ!」と叫びながら、バタ足だけで必死に追走し続けた。

 5回ほど通っただろうか、ふと気づいたら、自分の脚が妙にほっそりしている。測ってみたら太ももがなんと3センチも細くなっているではないか。四十肩リハビリを忘れ、全速力でバタ足してたせいだ。
 脚はともかく、四十肩を治さねばと、私はビート板をやめ、腕を水の中で振り回しながら娘を追いかけるようになった。学校で角度を習い始めた娘が「プールに入る前は45度だったけど、入った後は55度くらい上がるようになった」と私の腕をチェックしてくれる。その角度が80度にまで上がるようになった時、私はついに、クロールの腕のかきができるようになった。

 マタニティスイミングをしていたころは、娘がお腹にいて重くても、クロールで100メートルくらい、すう?っと泳いでいた。それなのに今は、10メートル泳ぐのもやっと。腕もまだ完全に真っ直ぐではない。
 最近は体重もウエストサイズも少しずつ減り始めている。私の腕が元に戻る頃には、ほっそりした身体も手に入るかもしれない。そんな淡い期待を胸に、今日も私はぎこちない動きで、クロールに励んでいる。


(更新 2011/7/14 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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