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いじめっこ、1円も損せず。

文・内藤みか

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 息子がいつまでもぐずぐずと学校に行かないので話を聞いてみると、クラスの男子生徒が「おまえなんかもう学校に来るな」「おまえがいないほうがクラスがうまくいくんだ」などときつい言葉で息子を追い出したということがわかった。

 息子はその言葉を真に受けて教室に足を踏み入れなくなった。欠席日数はかさみ、受けるべき授業も受けられない日々が続き、当然内申点はひどく下がった。正直にここに書く。私の息子の内申点は25だ。先日、受験予定の高校の進路相談会でこの数字を打ち明けたら、
「5科目で25ですか。オール5。優秀ですね」
 とほめられ、赤面して訂正した。先生、これは9科目での25です、と。

 美術や体育など、実技科目は授業に出席していないので軒並み2。他の科目も出すべき課題が出てないなどと難をつけられ低い数字を連発した。
 そのときふと気がついて先生に「いじめた生徒さんの内申はどうなるのですか」と聞いたところ「いじめた事実は内申書に載ることもありませんし、いじめは授業とは関係がないことですから内申点がそれによって下がることもありません」とぴしゃりと言われて耳を疑った。

 現代日本には大勢の、いじめによって不登校に陥った子どもたちがいる。彼らは不登校状態で苦しんだうえに、再起をかけて受験に挑もうとしても、内申点がひどく低く、自分の実力以下の学校を受験せざるをえないのだという。何度もいろんなところに調べにいったが、そういう答えだった。対していじめっ子は全く傷を受けず、過去を消して新しい学校を受験することができるというのだ。

 進路相談会でも、欠席日数が多い子どもは協調性がないとみなされ、集団生活を送っていくうえでの不安を感じると言われた。しかし真に協調性がないのは息子をクラスから追い出したいじめっ子本人なのではないだろうか。

「俺は内申じゃなく試験の点数で受けられる学校を受けるから大丈夫だよ」 
 と息子は強気だったが、これではまるでいじめられて不登校になった子どもを高校のほうで排除しているかのようにも思える。傷ついた子どもたちを救済する内申加点が必要なのではないだろうか。この不平等について私にできることはないか、最近探している。
 


(更新 2010/12/16 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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