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恋心の芽生え、0円。

文・内藤みか

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 私は今年の夏、ひとりぼっちだった。デートするような男の子はいなかったし、心の中にも誰も住んでいなかった。

 でも! 秋の訪れと共に、私の心の中に住む人が現れた。恋人ではない。思い切り片思い中だ。しかもその人とは1度しか会ったことがない。でも彼に会った瞬間、私の頭の中がドアチャイムのように、ピンポンピンポンと鳴り響いたのだ。

 その人はイケメンだし、またしても10歳以上年下だ。でもためらう。こんなオバチャンが近づいていったら、きっと怖がって逃げていくのではないかと思うくらい細身でしなやかだ。ああ、どうして私ってこういう弱気な子羊系、つまり思い切り草食系の男子ばかりを好きになってしまうのだろう。こういう、迫ったら泣き出しそうなはかないタイプが大好物なのだ。追うのと追われるのどちらが好きかというなら断然追うほうなのである。

 私の場合、いいなと思う男の子には「モデルになって」という口実を使うことができる。でもこれは本心でそう思っていることが多い。いいなと思ったら書いたり撮ったりしてその美しさを残しておきたいのだ。ベートーベンら歴代の偉人たちも、恋人からインスピレーションを得て作品を作っていた。これって、創作の原点かもしれない。

 でも今回はなぜか使えない。彼の思い詰めたような大きな瞳では私の小細工など簡単に見破られてしまいそうで、怖いのだ。
 モデルではなく映画に誘う、食事に誘う、なども考えた。彼はきっと来るだろう。なぜならば彼は俳優のタマゴで、私は作家だからだ。ああ、多分この図式がイヤなのだ、私。

 俳優のタマゴの男の子に私が「ご飯食べに行きましょう」と言ったら、おそらく彼は来る。でもそれじゃあ「仕事が欲しいんなら......わかってるね?」とアイドルの女の子に問いかけるエッチなプロデューサーみたいだ。そ、そんなのイヤだ。そんなの恋愛と違う。もっと健全にときめきたいし、相手にもときめいてもらわないと全然面白くない!

 ということで今回はモデルという奥の手を使わず、自然に親しくなれそうな機会をうかがっている。でもイイ男だから、こうして待ってる間に誰かにさらわれるんじゃないかと内心は心配でどうしようもない私だった。


(更新 2010/9/30 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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