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夜間シッター、一晩15000円。

文・内藤みか

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 先日悲痛な事件が起きた。大阪府に住む母親が育児放棄し、長期帰宅しなかったため、1歳と3歳の姉弟がマンションで餓死してしまったのだ。23歳の若い母親は、ホスト遊びが楽しかったため、と放置の理由を語ったという。

 私もまた2人の子どもを育てるシングルマザーである。離婚したのは子どもが1歳の時だったけれど、その頃はホスト遊びが密かな楽しみだったからよく似ている。私は泊まりのシッターさんに来てもらって夜遊びに行ったが、彼女はそれをせず、託児所にも預けず、子どもを放置した、そこが違うだけかもしれない。

 この事件について世間の怒りや嘆きは大きい。「子どもよりホストがいいのか」という声を目にするたびに胸が詰まる。そんなことはない。ただ、私も誰かに甘えたかったのだ。

 子どもは24時間際限なく甘えてくるけれど、夫がいないシングルマザーは他に同居家族がいなければ、誰にも甘えることができない。夫がいたころはこぼせた愚痴も、誰も聞いてくれる人がいない。これは相当つらいことだ。すべてのイライラを自己処理しなくてはならないのだから。

 暮らしに大人の男がいなくなり、その穴を補うかのように私はホストに甘えたり愚痴ったり、時には恋愛ごっこもした。そうすることで、淋しさもストレスも流してきたのだ。

 母と子だけで向き合うのはつらい。子どものわけのわからないわがままでギーギー泣き叫ばれた時など、何度か私も泣いた。このままでは親子ともにダメになる、と月に一度はホストクラブを利用し続けた。あのときホストクラブがなかったら。みかちゃん、がんばってるんだね、と認めてくれた彼らがいなかったら、私はどうなっていたかわからない。

 6日にAERAでの連載をまとめたエッセイ本『ソーシャルライフログ』が出版される。奇遇にもそこにはホストクラブで遊ぶシングルマザーの私の日常が書かれている。私は「遊んで」いたのではなく「助けを求めて」いた。子どもを棄てた今回の事件の母親もそういう気持ちはあったのではないかなと思う。

 シングルマザーには夜中に愚痴を聞いてくれる存在が必要かもしれない。気軽にかけられる「グチダイヤル」ができたらいいかも、と、ふと考えてしまった。


※この問題について、内藤さんがご自身のブログでもう少し長い文章を書いています。関心のあるかたはぜひこちらもご覧ください。(担当N)


(更新 2010/8/ 5 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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