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イケメン大量鑑賞、500円。

文・内藤みか

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 最近私はイケメンを選んでばかりいる気がする。
 今までのイケメンといえば、たとえば石原裕次郎のようなビッグスターがステージの上でひとり輝いていた。それほど笑顔を見せなくても女性達は「シビレル?♪」と黄色い声で叫んだ。ひとりでも充分華があり、いわばメインディッシュは一品で充分、というタイプだった。

 しかし今はどうだろう。あちこちでイケメンが集団でステージにのぼり、こちらに微笑みかけてくる。イケ☆ドリというステージはなんと500円という格安チケットまである。舞台が終了した後はファンとの交流タイムを設けてくれるところもある。こちらとしては大勢の男子にハーレム気分でときめくけれど、でも大勢すぎて、名前を全員覚えられない。

 観客の女性達は、帰り際に一番素敵だったのは誰かを投票してくださいと呼びかけられることがある。1位になった人は舞台のレギュラー出演などが決まる。多くの材料から好みを選ぶのだから、ビュッフェレストランのようだ。

 私たちは大勢イケメンを見られてオトクといえばオトクだけれど、投票される彼らはどんな気持ちなのだろう。とある男の子から話を聞いたけれど、相当シビアな現実が待ち受けているらしい。観客はある日突然、別の男の子を気に入り、そちらに投票するようになってしまうという。それは何の挨拶も前触れもなく突然起きるのだとか。

「けっこう傷つきますよ。でも自分にも何か問題があったんだと思うから」
 彼らは女子にちやほやされることには慣れているけれど、そっぽを向かれることには慣れていない。でも、女の子達はあっさり鞍替えしてしまう。たとえば「今日はこっちを見てくれなかった」などという小さな小さな理由で。

 ふっと離婚率のことを思い出した。今や日本の離婚率は3組に1組。ちょっとしたことがきっかけで離婚してしまう。私の知り合いで新婚2週間で「その日の夕食を作ってくれなかった」ということで離婚した人がいた。

 関係を長く保つということが最近は難しい。それはイケメンの世界でもそうで、次々と現れる新人さんに女子は心を奪われる。照れ屋の男の子はなかなかファンサービスができないけれど、だんだん言い訳していられなくなってきている。


(更新 2010/7/29 )


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プロフィール

内藤みか(ないとう・みか)

 小説家、エッセイスト。山梨県出身。デビュー当時「ケータイ小説の女王」の異名をとリ、現在も電子書籍サイトのダウンロードランキング常連。「年下男恋愛」「イケメン」についてのコンテンツを作り続け、「イケメン評論家」としても活動。近年はイケメン恋愛ゲームのシナリオや、芝居の脚本も手がけるように。『夢をかなえるツイッター』などSNSに関する著作も。近著に『誰も教えてくれない Facebook & Twitter 100のルール』。twitterアカウントは @micanaitoh

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