第1326回 優しいリン おおらかなベル 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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第1326回 優しいリン おおらかなベル

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 犬や猫だって年を取れば、「こんなこと、今までなかった」という老いの兆しが増えるんだろうなあ。

 わが家には、ゴールデンレトリバーの雄2匹が、息子夫婦、孫3人、私と同居している。お兄ちゃんのベル(写真左)は10歳、血のつながっていない弟のリン(同右)は3歳だ。

 食欲はいまも旺盛なベルだが、最近、オシッコの切れがあまりよろしくなかったりすることも……。

 とうにシニアだもの、仕方ないよと皆で話していた矢先、息子がベルとリンをシャンプーしたら──。

 2匹は、毛が乾くまでケージに一緒に入れられ、くっつき合っていた。ベルが足をなめている様子を何げなく見た息子は、「ン!?」と立ち止まったという。

 ゆったり毛繕いする、いつものベルの様子が目に浮かんだ。それが何か?と首をかしげる私に、息子は苦笑いしながらいわく、「それがさ、足が重なっていてすぐにはわからなかったんだけど、リンの足をせっせとなめてたんだよベルは。たぶん自分の足と間違えてたんだと思うよ」。

 え~っ、そんな間抜けなことってある!? もうろくした!?

 しかし、確かにベルがリンの足を(その逆も)なめている姿は一度も見かけたことがない。なめられたリンは、ベルの想定外の行動に首をかしげたことだろう。

 でも、「これは僕の足だから」とは言わず、足も引っこめず、気持ちよく(?)されるがままだったんだ。

 そこが、ふだんベルにちょっかいを出して甘がみしているリンなりの優しさなんだ、きっと。ベルもまた、まだ子犬だったリンに威張るでもなくおおらかだった。

 自分もいつの間にかシニアになりつつある。その話を聞いた日、少しばかり複雑な気持ちを込めて、ベルとリンをなでた次第。

[和田美代子さん 東京都/62歳/自営]

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(更新 2019/5/30 )


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