第1209回 義眼を忘れさせるほど元気なチロ

2017/01/12 10:30

 柴犬のチロ(写真、雌、9歳)にとって、2015年は試練の年だった。緑内障を発症し、右目の視力を失ってしまったのだ。
 ある日突然、チロは右目を固く閉じ、痛みに震え、歩くこともゴハンを食べることもできなくなった。
 普段は家族以外は受け付けないが、そんなことは言っていられない。近所の獣医さんへ駆け込むと、今まで震えていたのに全力で診察を拒もうとした。
 それでもなんとか押さえつけて診てもらった。数日通って痛み止めの注射を打ってもらうと、助けてくれるのがわかるのか、おとなしく診察を受けるようになった。しかしもう視力は失われているようで、専門病院を紹介された。
 その大きな病院でチロは麻酔なしの3時間の検査を乗り越え、結局義眼にする手術を受けることになった。
 手術を終え、退院してきたチロは、一時的に右目を縫い合わせた痛々しい姿ながら、思ったより元気そうだった。あれだけ抵抗した点眼もおとなしくさせるようになったし、目を守るためのエリザベスカラーでの生活にもじっと耐えた。
 片目が義眼になっても、生活にも支障はなく、本人は家に居られることを何より喜んでいるように見える。こっちが落ち込んでいても「あそぼ!」とおもちゃをくわえて寄ってくる。また、点眼後のご褒美が楽しみで、「偉かったでしょ? 今日のご褒美は?」とつぶらな瞳で見つめてくれる。
 見えていた過去は振り返らず、日々できることを喜び、毎日を淡々と過ごすチロ。私だったら、きっとメソメソ泣き暮らしていただろうな。
 今は義眼であることを飼い主すら忘れてしまうほど、以前と変わりなく元気だ。
 犬は強い。犬は偉い。犬から教わることは本当に多い。

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