第1194回 ロンが亡くなって気づいたこと 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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第1194回 ロンが亡くなって気づいたこと

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 9年前の夏、愛犬ロン(写真、雌)を14歳で亡くした。火葬してもらうため市の動物愛護センターへ独りで出向いた。思い出は家族の胸の中にだけ。骨やお墓は残さないつもりだった。
 ロンは車が苦手で乗せるとヒャンヒャン鳴き、運転していて落ちつかない。なので車でお出かけしたのは生涯3回ほど。「最後のドライブだね、ロンちゃん」。そう言ってロンが眠る静かな箱を見てまた泣いた。
 熊本市の動物愛護センターは、殺処分ゼロを目指す活動で知られている。その時は、鳴き声からして20頭くらいの犬がいただろうか。
 あの犬たちはみな、飼育放棄や迷子などで保護された悲しい過去を背負っている。そしてこのまま飼い主が名乗り出なければ、さらに悲しい運命をたどることになる。
 ただ、ここでは昼間、犬たちを屋外で日光浴させるという。譲渡先を探すなどの努力をして、それでも不幸にして処分しなければならない場合は、より苦しくないよう安楽死させるのだと知り、少しだけ慰めになった。しかし、人間の手によって殺される事実に変わりはない。
 ロンが亡くなってからずっと、あの子は幸せだったのだろうかと考えていた。しかしここに来たおかげで、ずっと家族と暮らせたロンは幸せだったのではないかと思えるようになった。
 職員の方は丁重に私の手からロンを受け取ってくれた。冷たすぎる体を抱えるのは本当につらかったが、最後まで目を背けず自分の手で渡せてよかったと思う。
 ロンの冥福と、これ以上不幸な保護動物が増えないことを願って慰霊碑に手を合わせた。
 ペットとの別れはつらいもの。でも、その何倍もの幸せをもたらしてくれる。今はまた、譲渡会で譲り受けた犬を飼っている。

(澤村久美さん 熊本県/47歳/会社員)

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(更新 2016/9/22 )


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