<ライブレポート>CHVRCHES、コンセプチュアルなステージを魅せた4年ぶり待望の来日公演
<ライブレポート>CHVRCHES、コンセプチュアルなステージを魅せた4年ぶり待望の来日公演

 CHVRCHESの4年ぶりの来日ツアー【CHVRCHES JAPAN TOUR 2023】が、1月11日に東京・Zepp Haneda、1月12日に大阪・なんばHatchにて開催された。本稿では初日の様子をお届けする。

 グラスゴー出身のローレン・メイベリー(Vo.)、マーティン・ドハーティ(Key, Vo)、イアン・クック(Key, B, Vo)の3名で結成されたエレクトロ・ポップ・バンド、CHVRCHESは、2013年の【サマソニ】で初来日を果たし、その後もリリースを重ね、出演した【フジロック】、【サマソニ】でもオーディエンスを度々圧巻し、日本における人気の高さを証明してきた。今回4年ぶりに開催された待望のジャパンツアーは、2021年にリリースされた4thアルバム『スクリーン・ヴァイオレンス』をメインに、アルバムのテーマであるホラー映画の世界観をパフォーマンスで届け、会場に集まったファンを魅了した。

 1階スタンディングはもちろん、2階席の後ろまでびっしりと詰まった会場は、この日を心待ちにしていた多くのファンの期待に包まれていた。ホラー映画『エルム街の悪夢』のテーマ曲がSEとして流れ、ステージは暗転。ホラームード満点な雰囲気のなか、青いライトに照らされたステージにマーティン、イアン、サポートメンバーのジョニー・スコット(Dr.)が順に登場し、少し間をあけ、ゴシックメイクに白いふわふわなミニドレスを身に纏ったローレンが姿を現すと、待ちわびたファンの大きな温かい拍手に包まれた。最新アルバムより「He Said She Said」でショウはスタート。スクリーンには音楽に合わせてホラー・テイストな映像が流れ、1曲目から天真爛漫に歌いながらくるくる回るキュートなローレンと、心身を揺さぶるずっしりとした重厚なバンドサウンドがしっかりと届く。

 ローレンが「ハロー」と明るく挨拶すると、待ち侘びていたかのようにオーディエンスから歓声が沸き上がった。会場のボルテージはうなぎ上りで、すでに最高潮なテンションのまま勢いは止まることなく「Forever」「Leave A Trace」「California」につなげ、エモーショナルなギターフレーズと胸に迫る圧倒的なパフォーマンスでオーディエンスを魅了した。曲間では、ファンからの声援や歓声が飛び交い、この日最初のMCではローレンが今回の来日ツアーの為に新しいドレスを準備したことを伝えるシーンも。

 そして「How Not To Drown」をまっすぐに歌い上げると、バンドメンバーの演奏はそのままにローレンは舞台袖にはけ、「Violent Delights」で黒いワンピースに衣装チェンジし、ストレートすぎる歌声と爆発的にエネルギッシュなアクトを届けた。その後も、SF感漂う演出のなか披露された「Science/Visions」では、ローレンがスタンディング・マイクを持ち上げ、全身で音楽を浴びるような圧巻のパフォーマンスを披露。曲間も絶え間なくオーディエンスから長めの拍手と声援が飛び交う程の盛り上がりをみせた。

 眩い光の演出のなかで「Good Girls」「Bury It」「Miracle」と続け、楽しげにくるくると回りながら歌うローレンは、音楽そのものを体現しているかのようだ。そして、日本初披露となった小島秀夫監督の傑作ゲームの表題曲「Death Stranding」を披露。一瞬一瞬をしっかりと惹きつけるバンドそのものの魅力が素晴らしく、幻想的なサウンドスケープが会場全体を包みこみオーディエンスの心を奪った。

 バンドメンバーと息の合った全身全霊のアクトが続き、終盤の「Final Girl」ではローレンは胸に“Final Girl“とロゴの入った白いTシャツとショートパンツルックにチェンジ。タイトルのテーマどおり、ホラー映画において殺人鬼から逃げ切って最後まで生き残るヒロインを表現しているかのような演出で観客を圧巻した。ラストの「Never Say Die」が披露されると、フラッシュ演出のなかメンバー4人がステージを後にした。

 鳴りやまない歓声が響き、オーディエンスから大きなクラップが沸き起こる。先ほどのTシャツに血が飛び散り、両腕にべったりと血のりを塗りたくったローレンとバンドメンバーの4人が再びステージに登場。アンコールでは「Asking For A Friend」「The Mother We Share」が披露され、会場は最高潮に。曲間の拍手が長く、歓声が飛び交い、オーディエンスの心を十二分に魅了していることがよくわかる。ラストに投下したのはキラーチューン「Clearest Blue」。ローレンが歌いだすと堪らずクラップが沸き起こり、オーディエンスは思い思いに体を揺らし飛び跳ね、青い光に包まれた会場は一瞬でクラブ空間のような一体感をみせた。演奏を終えるとすぐにSEが会場に響き渡り、終始多幸感に溢れた約90分間におよぶ圧巻のショウに幕を閉じた。キャリアを感じさせる一瞬も目が離せない成長した姿と共に日本へ戻ってきたCHVRCHES。今後の活動にも是非注目したい。

Text by Rumi Miyamoto
Photos by Sotaro Goto

◎セットリスト
【CHVRCHES JAPAN TOUR 2023】
※2023年1月11日(水)東京・Zepp Haneda公演
1. He Said She Said
2. Forever
3. Leave A Trace
4. California
5. How Not To Drown(feat. ロバート・スミス)
6. Violent Delights
7. Science/Visions
8. Good Girls
9. Bury It
10. Miracle
11. Death Stranding
12. Night Sky
13. Final Girl
14. Recover
15. Never Say Die

-En
En1. Asking For A Friend
En2. The Mother We Share
En3. Clearest Blue