<ライブレポート>Saucy Dog、自身初のホールツアー開幕
<ライブレポート>Saucy Dog、自身初のホールツアー開幕

 Saucy Dogが、9月30日に東京・LINE CUBE SHIBUYAで【Saucy Dog ワンマンライブ 全国ドッグラン!! “今度こそ、はじめてのホールツアー!”】を開催した。

 9月29日の東京・LINE CUBE SHIBUYAを皮切りに、全国10か所、全12公演を回るツアーをスタートさせたSaucy Dog。今回のツアーは、2020年3月に開催予定だったバンド初の単独ホールツアー【はじめてのホールツアー】の規模を全国に広げ開催された。コロナ禍で様々なことが起こっている社会情勢だが、Saucy Dogは感染対策を行いワンマンツアーや対バンライブを行うなど、今までエネルギッシュに走り続けてきた。ここでは、そんな彼らの初めてのホールツアーの開幕、LINE CUBE SHIBUYA公演をレポートする。

 眩い光がステージを照らす中、3人は漲るパワーを込めて拳を重ねる。そして静寂の中、石原慎也(Vo./Gt.)の弾き語りから始まる「煙」でライブが開幕。クールな滑り出しを切った彼らは、立て続けにロックナンバーを届けていく。「シーグラス」では、石原のギター・アルペジオ、秋澤和貴(Ba.)の厚みのある重低音、せとゆいか(Dr./Cho.)の疾走感ある16ビートが気持ちよく重なり合った。時折見せる、お互いが向き合い共鳴するパフォーマンスは、彼らの大きな魅力だと感じた。

 本公演は、8月にリリースされた最新ミニアルバム『レイジ―サンデー』の収録楽曲もたっぷりと堪能できるセットリストが組まれていた。タイトルコールが告げられた後に一瞬会場が沸き立った「シンデレラボーイ」。そして3人の激しいバンドアンサンブルからスタートした「リスポーン」では、せとと秋澤のコーラスが石原の主旋律に美しく重なり合う。一つの小説を読んでいるかのようなストーリー性溢れる歌詞が、石原の歌声と共に会場全体に響き渡っていく。「どんどん周りが幸せになっていく中で、言えない自分の弱いところを描いた」と語られた楽曲「君がいない」では、石原の感情を剥き出しにしたような力強い声が、観客の心を揺さぶった。

 毎回恒例となってきているアコースティックコーナーも繰り広げられた。秋澤はエレキギターに、せとはカホンに、石原はアコースティックギターを構えて「film」をしっとりと歌い上げる。そのまま後半戦に突入すると、秋澤のベースソロから始まる「雷に打たれて」を筆頭に、歓喜と興奮を起こしながら終盤へ一気にたたみかけていった。

 本編終了直後、アンコールを求める拍手の嵐が起こり始める。全員の期待に応え、再びステージに登場したSaucy Dog。ここでは「「東京」を作ろうと思って作ったんじゃなくて」「作っていくうちに(タイトルが)「東京」じゃないといけないんじゃないかと思った」と石原が語った、最新曲「東京」が届けられた。「大丈夫。僕は上手くやれているよ」という心に刺さる歌詞は、彼ら自身を投影しているのはもちろん、私たちリスナーとも照らし合わせることもできる。石原の伸びやかな歌声は会場全体に広がり、煌びやかにライブの幕が降りた。

 彼らの次のステージは大阪・オリックス劇場。どんなパフォーマンスを見せてくれるのか期待に胸が熱くなる。

Text by Tatsuya Tanami
Photo by 白石達也

◎公演情報
【Saucy Dog ワンマンライブ 全国ドッグラン!! “今度こそ、はじめてのホールツアー!”】
2021年9月30日(木)
東京・LINE CUBE SHIBUYA

◎ツアー情報
【Saucy Dog ワンマンライブ 全国ドックラン!! “今度こそ、はじめてのホールツアー!”】
2021年10月06日(水)大阪・オリックス劇場
2021年10月07日(木)大阪・オリックス劇場
2021年10月09日(土)愛知・日本特殊陶業市民会館フォレストホール 
2021年10月23日(土)新潟・新潟テルサ
2021年10月26日(火)北海道・札幌カナモトホール
2021年11月20日(土)香川・サンポートホール高松・大ホール
2021年11月22日(月)福岡・福岡市民会館
2021年11月23日(火・祝)広島・JMSアステールプラザ 大ホール
2021年11月28日(日)宮城・東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
2021年12月02日(木)東京・東京ガーデンシアター