“アラフィフ”2人による現役感あふれるエネルギッシュなコラボ / 「マッド・ラヴfeat.ベッキー・G」ショーン・ポール&デヴィッド・ゲッタ(Song Review)
“アラフィフ”2人による現役感あふれるエネルギッシュなコラボ / 「マッド・ラヴfeat.ベッキー・G」ショーン・ポール&デヴィッド・ゲッタ(Song Review)

 ダンスホールの帝王=ショーン・ポールと、EDMシーンの代表格デヴィッド・ゲッタによるコラボ・ソング「マッド・ラヴ」が2018年2月16日にリリースされた。

 ショーン・ポールといえば、2016年に発表したシーアの「チープ・スリルズ」(全米1位/全英2位)と、クリーン・バンディットの「ロッカバイ」(全米9位/全英1位)にフィーチャリング・ゲストとして参加し、どちらも大ヒットしたことが記憶に新しいが、新曲「マッド・ラヴ」も同様のエレクトロ・サウンドとダンスホールをミックスした、フロアオリエンテッドな一曲。おそらく、これらのヒットやダンスホール・ブームを意識して作られたのだろう。

 フィーチャリング・ゲストのベッキー・Gは、2014年に全米16位をマークした「シャワー」や、スペインで初の首位を獲得した「Mayores」などのヒットで知られる、米カリフォルニア州イングルウッド出身のシンガー/女優。昨年「ダーティ・ワーク」で大ブレイクしたオースティン・マホーンの元彼女としても有名で、ゴシップサイトなどでも世間を騒がせた。「マッド・ラヴ」では、冒頭から攻撃性と色気を醸したボーカルで、存在感をアピールしている。

 キレの良いベッキー・Gのフックから、入れ替わってショーン・ポールが独特のグルーヴを炸裂させる。世代は違えど両者の相性は良く、スピード感のあるトラックにもしっかりハマっている。デヴィッド・ゲッタの代表曲「ヘイ・ママfeat.ニッキー・ミナージ&アフロジャック」(2015年)に匹敵する騒々しさも、レゲエの要素とショーン・ポールの“ベテラン臭”が緩和させている。

 プロデュースは、デヴィッド・ゲッタを中心に、ソカやレゲエ・シーンで活躍する1st Klaseや、アフロジャックとのコラボ曲「ダーティ・セクシー・マネーfeat.チャーリーXCX&フレンチ・モンタナ」のリミックスを手掛けたBanx&Ranxが担当。制作陣には、大活躍中の女性シンガー・ソングライター=エミリー・ウォーレンや、クリーン・バンディットのジャック・パターソン、ノルウェーのシンガー=イナ・ロードセンに加え、シャキーラの名前もクレジットされている。制作当初は、ベッキー・ジーではなく彼女がメイン・ボーカルを務める予定だったそうで、曲の制作にも携わっているということだろう。

 しかし、驚くべきはショーン・ポールの息の長さだ。ブレイク曲「ギミー・ザ・ライト」が2002年、「ゲット・ビジー」と、ビヨンセとコラボした「ベイビー・ボーイ」が全米1位を獲得したのが翌2003年。自身最大のヒット曲「テンプラチャー」をリリースした2006年以降は、ジェイ・ショーンの「ドゥ・ユー・リメンバー」(2010年)や、エンリケ・イグレシアスの「バイランド」(2014年)など、フィーチャリング・ゲストとして定期的にヒットを飛ばし、前述の2曲で本格的な再ブレイクを果たす。存在が薄くなった時期もあったが、デビューから18年、レゲエというマイナーなジャンルで第一線で活躍し続けることに感服する。

 そのショーン・ポールが45歳、デヴィッド・ゲッタは50歳。“アラフィフ”の2人が今尚現役で、これだけ元気な新曲を届けてくれることは、彼らと同世代のリスナーにもパワーを与えてくれた…のではないだろうか!?

Text: 本家 一成

◎リリース情報
「マッド・ラヴfeat.ベッキー・G」
ショーン・ポール&デヴィッド・ゲッタ
2017/2/16 RELEASE