しのだ・せつこ/1955年生まれ。90年に『絹の変容』で小説家デビューし、97年に『女たちのジハード』で直木賞を受賞。『斎藤家の核弾頭』『百年の恋』『ブラックボックス』など多彩な作風で知られる。2020年に紫綬褒章を受章。近著に『ロブスター』など(写真/写真映像部・上田泰世)
『四つの白昼夢』(1870円〈税込み〉/朝日新聞出版) 現実と非現実を行き来しながら、四つの短編を通し人間という生き物の不思議を描く。日常と異世界の橋渡しをするのは、物語の細部に宿るリアリティーだ。物語の大きな枠組みが頭のなかに自然発生的に立ち上がったら、わからないことは徹底的に取材をする。「文章はディテール勝負。小説は細かな描写で語らなければいけない、と思っています」(篠田さん)