他の役所も同じである。障害者雇用に関する制度変更がこの4月にあったのだから、それに対する対応策を省庁全体で議論したとすれば、「水増し」に気がついたかもしれない。役所全体で議論するようなテーマではない、とは言わせない。民間企業の担当者らによると、障害者雇用を増やそうとすれば「会社全体で仕事を見直し、どの部署で障害者雇用を増やせるかを考えないと難しい。人事担当者だけの問題ではない」という。

 局長などを歴任した経済産業省OBの一人は今回の事態を「霞が関にとっては非常に由々しき問題。行政官がルール無視をするとなると国としての秩序は成り立たない。政権としても一大事だ」と嘆く。

 9月3日、中西経団連会長が大学生の新卒採用について見直しの意向を示した会見でこう答えたという。

「省庁・自治体で障害者雇用を水増してカウントしていることには、正直、驚いた」(経団連ウエッブサイト)

 驚くだけでなく、経済界を代表する経団連会長として政府に活を入れてほしかった。(Gemba Lab代表 安井孝之)

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